世界との戦い ページ17
ギリカナン)『その通りだよ、クラリオ君』
そこへ、知らない男性の声がどこからか聞こえざわめく一同。
辺りを見回してどこにいるのかを探していると、目の前に備え付けられていたモニターに1人の老人が映された。
その人物を見た途端、一星が反応した。
光)ギリカナン理事長…!
A)(…あの人が…)
しの)(…あのM字分け、息子がどうたらって言ってなかった?…息子にしては老けすぎ…ってかジジィじゃん)
新条から聞いていた話からギリカナン理事長…もとい”ベルナルド様”が自身の想像と全く違った事に、しのは小首を傾げる。
ギリカナン)『知っての通り、サッカーにはルールがある
我々オリオン財団が目指すのは、全てがルールで統一されたパーフェクトワールド』
ギリカナン)『君達にもルールに従って欲しいものだ
このまま我々に従わなければ、君達は全てを失うことになるだろう』
しの)(…そこにおれらも利用したいってことかよ)
淡々と語るギリカナンを前にしのは歯を食いしばる。
ギリカナンはそう言い残し、映像は途切れた。
映像が途切れた後も場は重苦しい空気に包まれていた。
監督)ギリカナンが望むパーフェクトワールド…それが実現したら、世界経済に大きな利益をもたらすことでしょう…しかしその時サッカーは…いえ、スポーツの世界は完全に光を失ってしまうのです
A)…そんなに大きな事態になっていたなんて……
クラリオ)そんなことはさせない、オリオン財団は私達スペイン代表が倒す
不安げに鮮やかな瞳を揺らすAの耳にクラリオの力強い言葉が聞こえた。
監督)これこそがオリオンに見せつけてやらなければならない、本当の戦いですよ
向かい合う日本とスペインの両者を見て趙金雲は大きく頷く。
いよいよ世界との戦いが、オリオンとの戦いが本格的に始まる。
皆がそう実感するには十分すぎるものだった。
しの)(…おれはどうすればいいんだろ)
そしてここに1人、今の自分が何をすればいいのか。
躊躇している者が。
しの)(…スペインにあんな大口叩いてたけどおれにそんな資格あんのかな……っおれは、この中に、居て…いいの、かなっ)
……「君にはオリオンの使徒になってもらいたい」……
……「いや、ならなければならない」……
…新条から言われた言葉が頭に響く。
しの)(…もっと…もっと、明るい未来を見てたはずなのになあ……)
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作者名：39 | 作成日時：2023年8月13日 17時
