上っ面だけ ページ12
時は少し遡り。
一方のしのは飲み物を取りに行く際、ある現場を目撃してしまった。
新条)すっかり日本代表に馴染んでるみたいで安心したよ
光)他の失敗したやつらと同じように、俺を排除するんですか?
誰もいないエントランスの離れにあるデッキには一星と新条が対峙していたのだ。
思わず物陰からこっそり覗き見するような形で、そのまま動けず終いだ。
新条)そんなことはしないよ、君の事はすまないと思っている…オリオン財団のやり方には問題も多いからね
光)……………
しの)(…あーゆー上っ面だけいい顔をしてる大人なんて信用出来ない、どーせおれらみたいな子供の事を何とも思ってねーんだろな)
表情こそ見えないものの、新条の口調は実に穏やかなものだった。
まるで一星がこうなる事を予測していたかのような…。
その口ぶりに裏があるようにしか思えないしのは”何か”を思い出すように眉を顰める。
しの)(つーかあっち側の方何かうるせえな…喧嘩でもやってんのか?)
その近くで何やら揉めているかのような声に苛立ちながらも2人の会話に耳を傾ける。
新条)しかし私は何事も慎重に行動したいと思っている、その辺りは分かってくれたまえ
光)……はい
しの)(…うさんくさ、脅迫までして使徒になれとか言ってるくせに)
瞬間、新条に向かってサッカーボールが飛んできた。
しの)っ!危ない!!
反射的にしのが声を掛けると、新条は瞬時に反応しボールを足で受け止めた。
その動きにしのの心臓はバクバクとうるさかった。
しの)なに、今の動き…
しの)(あんなのまるで……”アイツ”みたい)
新条)ありがとう”巡音さん”…君が声を出していなければボールが来るのに気付かなかったよ
新条を”ある者”と重ねて見ていると新条に声を掛けられた。
巡音さん呼ばわりに少し不信感を抱きつつも、とりあえず早くこの場を去ろうと思ったしの。
しの)いえ……待たせてる人がいるんでそれじゃ、あ……
その時、しのは思い出した。
しの)っ〜〜!
ここはオリオンの息がかかったパーティ。
そんな場でAを1人で残してしまった…。
しの)(やばいやばいやばいッ!鬼道先輩にも散々言われてたのに!!)
新条)…巡音さん、今のトラップに見覚えは
新条が何か言っているが、そんな事に構わずしのは一目散にAの元に戻る。
Aの元へ戻る際、灰崎とヒロト、そして不動の3人組が居たような気もする。
しの)(うるさかったのアイツらなんだろーな…いやそんな事より!Aちゃん!!無事でいてッ!!)
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作者名：39 | 作成日時：2023年8月13日 17時
