ヒールの良さ ページ2
A)ふぅ…心臓に悪い……
Aは未だに熱くなったままの頬を冷やすように、頬を手でペチペチと軽く叩く。
…まだ氷浦の言葉が脳裏から離れない。
いや、正確には今日言われた言葉が離れないのだ。
A)(皆、急にあんな事言い出して本当にどうしたんだろう……私の身がもたないや)
軽く呼吸を整えていると、円堂が何やら捜しているのが目に入った。
A)円堂くん?
円堂)ん?…おぉ、Aじゃないか!
A)何してるの…?落し物でも探してるの?
円堂)いや、落し物じゃなくって……
坂野上)円堂さーん!
円堂が何か言いかけたその時、タイミング良く坂野上の声が聞こえた。
A)……坂野上くん?
どうやら円堂を捜しているようだ。
円堂)ああ、坂野上ー!こっちだ!!
円堂が大声を上げると坂野上が此方に向かって走り寄ってくる。
坂野上)あ、Aさんも!…円堂さんが急に居なくなっててビックリしましたよ!
円堂)悪い悪い…A、不動知らないか?
A)不動くん?…見てないや
円堂)さっきから不動の姿が見えないんだよ、もうすぐ組み合わせ抽選会が始まるのに…どこ行ったんだろうな
A)(そういえば日本が何処と戦うのか、もうすぐ分かるんだっけ…)
A)じゃあ、私も捜すよ
A)ううーん…いない……
不動を探すこと数分、３人で手分けして探しているのだが中々見つからない。
だが、代わりに違う人物を見つけた。
A)しーくん…
料理を取っているから、士郎はAの存在には気づいていないようだ。
A)(…いや、まず不動くん探さないと)
そう思ったものの、Aの脳裏に線香花火ほどのアイデアが閃く。
Aは足音を立てないように、と恐る恐る料理を取っている士郎に近付く。
Aはそのまま士郎を驚かそうと後ろから抱きしめる。
A)(あれ…?)
だが、何故か違和感を感じた。
士郎)ん?…Aちゃん?
士郎は持っていた皿を机の上に置くと、胸に回っているAの腕に手を添える。
A)よく分かったね!
士郎)そりゃあ、知らない人がいきなり抱きついてきたらびっくりするよ
A)あ、そっかぁ…………っ!
あまりの士郎の反応の薄さにAは眉を垂らすが、すぐさまハッとした表情になる。
士郎)どうかした?
A)いつもと顔が近い…!
そう、いつもなら身長差があるのだが今回はヒールで身長が増しているのだ。
A)(なんか腕回しやすいなって思ってたけど、ヒールのお陰だったんだ…!)
先程感じた、違和感の謎も解けたAはヒールも悪くないなと思ったのだった。
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作者名：39 | 作成日時：2023年8月13日 17時
