恋は盲目 ページ1
恋は盲目とはよく言ったものだ。
「まさしくその通りすぎる」と万作は息を吐いた。
今までそんなものには無頓智で恋愛の「れ」の字も知らなかった幼馴染が無意識とはいえ、1人の少女に釘付けになっている。
しかも、相手はトップを誇る有名人だ。
万作)…俺もお前も、相手を間違えたな
隣に立つ氷浦にすら聞こえるか聞こえないか程の声量でポツリと呟く万作。
しの)よーっす!
氷浦)っ!
と、そこへしのが氷浦と万作の肩に手を回し勢いよく突進してきた。
万作)しのか、さっきは大変だったな
しの)ホンットに…つか見てたなら助けろよ
ギロリと睨みをいれてくるしの。
八つ当たりもいい所だ…。
しの)んでんで?Aちゃんと良い写真は撮れたあ?
写真という一言に、氷浦はAとの出来事を思い返す。
氷浦)…ああ、幸せな時間だったよ
そう語る氷浦の表情は本当に幸せそうな顔だ。
しの)っ〜〜〜!!
万作)痛っ!…自分の力加減考えろよ
そんな氷浦の表情が最高だと言わんばかりに、しのは隣にいる万作の背をバシバシと叩き共感の声を追求する。
…この中で1番の被害にあっているのは万作であろう。
しの)いいねえ、いいねえぇ…氷浦もストライクゾーンだからどんっどん進展していって欲しい…!
しの)(欲を言えばもっと積極的になって欲しいけど氷浦も天然記念物だから難しいかなーっ……)
ドレス姿に不釣り合いな顔付きに変わるしのを横目に万作は呆れるように息を吐く。
しの)そーいえば万作はどうよ?
万作)…どうしたんだ、急に
突然の言葉に不意をつかれ、喉の奥に指を突っ込まれたような衝撃が走る。
しの)いやぁ?万作もAちゃんの事好きじゃないのかなーって
万作)………
しの)おっ?おっ?!おおっ!?
帽子を深く被り、押し黙る万作の姿にしのは新しい玩具を見つけたかのように嬉しそうに笑う。
しの)マジか!?万作は違ぇのかなって思ってたけど…ポーカーフェイス気取ってただけかよ、言えって〜!!
万作)あーっ……こうなるから黙ってたんだよ
しの)まぁ頑張れ!おれは応援してっからさ!
万作)気軽に言ってくれるな
再び自分の背をバシバシと叩くしのに、万作は額に手を当て呆れながらも考え込む。
万作)(…俺もあいつを好きでいいのか?表では氷浦を応援してるのに)
Aとの関係は勿論。
氷浦との関係も崩れてしまうのではないかと恐れる万作。
そんな万作の想いも知らずに、氷浦は未だに夢のような思い出に浸っていたのであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：39 | 作成日時：2023年8月13日 17時
