初めての写真 ページ50
氷浦)そうだな…あまり撮らないな
伊那国島にいた時はのりかがそういうの好きだったから、よく皆で撮ってたけど…ここに来てからはめっきり減った
A)確かに…FFが始まったと思えばすぐにFFIが始まって忙しかったもんね
顎に手を当て考える仕草をとった氷浦が軽く唸った後にそう言うと。
Aは「そっかー…」と言いながら後ろ手を組む。
氷浦)そういうAはよく撮るのか?
A)お仕事は別としてなら…あんまりかな?でもしのはこういうの大好きだから渋々……その点は私も氷浦くんと同じかなぁ
氷浦)……………
もしかして本当は嫌だったんじゃないのか、
無理に誘ってしまったのではないのか…そんな不安の気持ちが氷浦の心に浮かびどんどん顔が曇っていく…が。
A)でもね、氷浦くんが写真撮りたいって言ってくれた時は嬉しかったの…緊張しちゃったけどね
「今だから言える話だよ」と前振りを置き、氷浦の方へ振り向いて情けなく眉を落とし微笑む。
だが、当の氷浦は目を見開いて固まっている。
A)あっ、深い意味は無いからね?純粋に嬉しかっただけだから
氷浦)分かってる…俺も嬉しかったから、Aとこんな風に写真を撮れて…
慌てて弁明をするAに氷浦は優しく微笑む。
そんな氷浦の言葉に照れくさくなってしまい目を伏せてしまうが、すぐに目を細めると「うん」小さく微笑む。
A)この写真、あとで氷浦くんにも送っておくね…撮ってくれてありがとう!
「また後でね」と氷浦に向かって数回ヒラヒラと手を振ったAは、くるりと回り背を向けると人混みの中へと消えていった。
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氷浦)…っはあ…
ようやく極度の緊張状態から解放された氷浦は肩で大きく息を吸う。
FFIが始まって以来、Aと話す機会も少なり距離が遠く感じてしまった。
だからこそこうして写真を撮れたり、自分の気持ちをハッキリと伝えられて嬉しい。
遠く感じた距離が再び近付けた気がしたのだ。
万作)氷浦
氷浦)うわっ?!
そんな甘い思いを噛み締めるかのようにしばらく想いに浸っていた氷浦だったが。
万作からの一言により現実に引き戻される。
万作)やっと反応したな…今のお前をお前のばあちゃんが見たらどう思うだろうな
氷浦)え、ばあちゃんがどうかしたのか?
万作)反応するのそこかよ…
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作者名：39 x他1人 | 作成日時：2023年7月28日 19時
