写真と条件 ページ49
A)うっ、ううん!大丈夫…大丈夫……
Aは火照りきった顔を冷ますように手でパタパタと風を送るが、顔はまだまだ熱い。
氷浦)で、でも!……本当、だから…お世辞とかじゃなくて本当に俺はそう思ってるよ
A)……………
真剣な目でハッキリと告げられた言葉にAの頭はパンクしそうだった。
いや、もう爆発寸前まできている。
A)あ、あああ…あり、が、と……
壊れかけているロボットかのようにぎこちない言葉を返してくるA。
そんなAが何故だかとてもおかしく思い、氷浦は笑みを零してしまう。
A)なっ!…なんで笑うの…!
氷浦)ごっ、ごめん……っ
謝ってはくれるものの、氷浦の頬は釣り上がったままだ。
A)もうっ…写真撮らせてあげないよ?
氷浦)えっ!それは困るな…
わざとらしく拗ねたフリをするAだが、その言葉は氷浦にとっては大ダメージを与えるものなのだ。
眉を下げてしょぼんという効果音がつきそうな程に落ち込む氷浦を見て、Aはクスッと微笑む。
A)…冗談だよ、でも1つだけ条件ね
氷浦)条件?
A)うん、氷浦くんも一緒に入ること
氷浦)お、俺も?
まさか自分も撮られるだなんて思いもよらなかったのか。
氷浦はあからさまに目を瞬かせる。
A)うん、私だけ撮られるなんてズルいから…氷浦くんも撮られてね!
「ふふん…!」といたずら好きの子供がするような意地悪な微笑みを浮かべるA。
A)(本当は助けてくれたお礼だから入ってくれなくてもいいけど…どうせなら一緒に撮りたいから意地悪言っちゃった)
氷浦)(…Aと写真か…俺、大丈夫かな)
楽しそうにスマホを用意するAを隣に氷浦は胸を躍らせる。
まさか一緒に撮れるなんて嬉しい、
好きな子とのツーショットで倒れたりしないか、
さっきみたいに変に口走ったりしないか…などの不安な気持ちと嬉しさが積もっていたのだった。
A)そういえば氷浦くんと写真撮るの、初めてかも
携帯を片手に、撮影したばかりの写真が表示されている画面を見つめながらAが呟く。
氷浦の心配事も無く、無事にAとの写真を撮れたのだ。
氷浦)言われてみれば確かにそうだな…皆と撮ることは何度かあったけど
A)へぇ…意外だなぁ
氷浦)意外?
A)うん、氷浦くんきk……撮ったりしてるイメージないから!
「機械類に強そうには見えない」一瞬、その言葉が出そうになった。
画面から目を離して、写真を撮る為に少々キツく上げていたネクタイを緩める方に神経を使っていたのか。
幸いにも、気付かれてはいないようだ。
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作者名：39 x他1人 | 作成日時：2023年7月28日 19時
