言われ慣れない ページ45
一方、Aはというと。
A)うーん……アレも美味しそう、あーでもコレも……でもさっきのお肉も……
…どうやら食べたい物が多すぎるのか。
どれを取ろうか迷っているようだ。
限られたスペースに何を置こうかと考えていると、誰かがこちらに駆け寄ってきた。
光)A先輩!今までどこに行ってたんですか!
A)一星くん…ちょっとね、外で涼んでて
光)……タツヤさんと一緒にですか?
A)う、うん
光)…俺は先輩のことずっと捜してたのに…
タツヤと一緒だったことに憮然とする一星。
A)え、そうだったの…?
そんな一星の言葉にAは申し訳なさが込み上げてくる。
光)…これ
一星が差し出してきたのは料理が綺麗に盛り付けてある皿だった。
光)…先輩、さっきから何も食べてませんでしたよね
A)えっ
A)(知ってたんだ…もしかしてこれを渡すためにずっと待っててくれたの、かな)
光)……心配しましたよ、珍しく何も食べないしいつの間にかどこかへ行っちゃうし…
A)ご、ごめんね?でも私なら大丈夫だから!
光)…それなら良いんです…これ、良かったらどうぞ
Aの好物や栄養バランスを考えられた皿を一星から渡される。
A)…あれ?私、好きな食べ物教えたっけ…?
光)皆さんの好みは把握してますので
A)そうなんだ…ありがとう!何取っていいか迷ってたから助かったよ!
光)っ!
Aにお礼を言われたからか、かああっと赤くなる一星。
光)い、いえ!
光)(これだけのことで舞い上がるなんて自分ってチョロいな…)
一星はそう思うが幸いにもAには気付かれていない。
光)…零しちゃダメですよ、ドレス白なんですから
A)わ、分かってるよ…
先程まで自分が明日人に忠告していた言葉を、後輩からそのまま同じ言葉を言われるとは…。
光)…そ、…その……す…
A)うん?
自分ながら呆れていると、一星が何やら言おうとしている事に気付き耳を傾ける。
光)…今の先輩すっごく可愛いですから!!汚したらもったいないですよ!!
A)えっ
言い慣れない可愛いを伝える事に緊張して、声のボリュームを完全に間違えた一星。
光)…でっ、では!失礼します!!
一星は返事を待たずにAの元から去っていった。
A)………びっくりした…
色んなドキドキが入り混じるAは目をぱちくりと瞬かせる。
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光)…ああ緊張した…
Aから見えない所で熱くなった顔を両手で必死に扇いだ。
でも、ようやくAに本音を伝えられたことでスッキリした一星だった。
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作者名：39 x他1人 | 作成日時：2023年7月28日 19時
