シャレにならない冗談 ページ41
ヒロト)……………はっ?
ヒロトはタツヤの言ってる意味を理解するのに時間がかかった。
そしてタツヤも、何故自分がそんなことを口にしたのか分からなかった。
2人の間にはしばらくの沈黙が流れた。
当然、2人も固まったままだった。
ヒロト)……おいおいおいおいおい、気ぃ狂ったのかよ
ようやくヒロトが声を出した。
だが、その声は今にも消えそうなくらい小さいものだった。
あからさまに動揺しているヒロトの反応だが、そんな事を気にする余裕はタツヤにも無い。
ヒロト)…本気か?
何も言わず黙ったままのタツヤにヒロトは目を見開く。
タツヤ)…………………
当のタツヤは自分で言ったことが信じられず、呆然としていた。
ヒロト)…お、女見る目ねーな!!アイツのどこがいいんだ!?
ヒロトは気が動転して止まらないのか。
先程の弱々しい声とは打って変わって声を荒立てる。
ヒロト)今日のお前、おかしいぞ!悪いこと言わねーからやめとけ!!
タツヤ)…ヒロト
ヒロト)なッ、何だよ?!
タツヤ)そんなに困るんだな、俺がAを好きになったら…
熱くなっているヒロトの気持ちをタツヤは冷静に、そして少し悲しそうに汲んだ。
ヒロト)や、別に困ってるわけじゃ…
Aのことを何とも思っていないなら、タツヤがAを狙っても構わないはず。
それなのにこんなに必死になって…。
何とも言い難い感情が言葉にならず、目が落書きのように渦巻き状になるヒロト。
タツヤ)……じゃあ良いだろ、俺がAを好きになっても…
真剣なタツヤを前に何も言い返せなくなったヒロトは口を紡ぐ。
また2人の間に静寂が走る。
タツヤ)……なんてな
すると、その空気に耐えられなくなったようにタツヤが沈黙を破った。
ヒロト)は?
タツヤ)…ほら、やっぱり困るんだろ?Aを取られちゃ……
そのタツヤの言い回しにヒロトはピンときた。
ヒロト)…おい、まさかてめえハメやがったのか?
タツヤ)…悪い、お前の気持ちを確かめたくて
ヒロト)シャレにならない冗談てのがあるだろ…!
騙された怒りや、謎の安心感がごちゃ混ぜになっているヒロト。
タツヤ)…でも予想以上の焦りようだったな、それはもう…Aのことを好きだからってことで良いんじゃないか?
ヒロト)違うっての!あいつに彼氏なんてできて、俺の遊び道具が無くなんのが気にくわなかっただけだッ!!
タツヤ)……
だんだん言い訳が雑になっていくヒロトにタツヤは呆れてしまう。
ヒロト)んだよその目は!
タツヤ)…いい加減素直になった方が良いと思うけどな
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作者名：39 x他1人 | 作成日時：2023年7月28日 19時
