エスコート ページ39
タツヤ)き、きっと皆も同じだよ、似合ってるって思ってる
タツヤ)…もちろんヒロトもね、照れくさくてついあんなこと言ったんだと思う…
A)そうかなあ…
タツヤ)うん、そのくらい良く似合ってるよ…俺が保証する
A)……………
タツヤ)だから自信持って
嘘も迷いも見えないタツヤの瞳を見ているうちにAの心情が変わってきた。
タツヤ)…分かった?
A)…タツヤって
タツヤ)ん?
A)過保護だよね
タツヤ)えっ
思いもよらない言葉につい固まってしまうタツヤ。
A)…ふふっ…昔から過保護だもんねぇ
そんなタツヤがおかしくて、小さな笑みが零れてしまう。
タツヤ)そ、そうか…?
タツヤ)(過保護、なのか?俺は……)
顎に手を当て唸るタツヤを見つめていると、先程まで忙しなく動いていた心臓も熱くなっていた頬も。
まるで嘘かのように消えていた。
A)(ここまで言われたらタツヤを信じるしかないな)
そう思えば何だか肩の荷が下りてくる気がしたA。
A)…そろそろ戻ろっか!
タツヤ)えっ、足はもう大丈夫なのか?
A)うん、だいぶ痛みも消えたし
タツヤ)そっか…良かった
大した事にはならず良かったと思う反面、この時間が終わってしまうという事に寂しさを覚えてしまうタツヤ。
だが、Aよりも先に立ち上がり自分の手を差し伸べる。
タツヤ)はい
A)…なぁに?
タツヤ)…お手をどうぞ、姫
A)…しーくんにも言われたなぁ…それ、いきなりどうしたの?
しーくん…吹雪士郎のことであろう。
自分といるのに他の男を名を出すAにズキリと胸が痛む。
タツヤ)…Aはいつも危なっかしいからね、こうしてリードしてあげないと駄目でしょ
A)…本当に過保護
年下であるタツヤにまでこんな扱いをされる自分が悪いのは分かっている…が。
どうも納得がいかないAはジトっとした目付きに変わる。
タツヤ)…お願い、会場に戻るまでで良いから…俺に…っ
一瞬詰まってしまう、が照れくささを全て取っ払う。
タツヤ)俺にエスコートさせて下さい
A)…どうしちゃったの本当に…なんか、変だよ……
その真剣な表情にAは何とも言い難い感覚を覚え戸惑ってしまう。
タツヤ)…ごめん、でも…っ今だけは、俺だけを見て欲しい
そんな事を言われて断れる人間はいるのだろうか。
A)……うん…
こくりと頷きそっと、自分の手をタツヤの手に重ねた。
タツヤ)…ありがとう、A
そう言うタツヤは嬉しそうに笑った。
A)(…なんか、調子狂うなぁ)
外が暗くて良かったと思った2人。
今の自分の顔はきっと、誰にも見せれない程真っ赤だろうから…。
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作者名：39 x他1人 | 作成日時：2023年7月28日 19時
