冗談抜きで ページ35
A)…?
なぜ止める、と言わんばかりに頭の周りを？でいっぱいにするAは困ったようにしのを見つめる。
しの)ちょっっとアウトかな〜…と、あははっ……
口角をピクピクさせながら引き気味に笑うしのは横目で隣に立つ人物を見る。
士郎だ。
今のAの言行を良く思っていないのか、笑顔ではいるがとても怖い笑顔だ…。
しの)(アレは怒ってる…ものすんごい怒ってる…!だって後ろにゴゴゴッってついてるもん!!)
Aは気付いていないだろうが、しのは見ているだけでゾワッと背筋が凍る感覚が伝う。
しの)あーっ!ちょっと2人借りんね?!迷子にならない程度に見回ってて〜っ!
そう言うが先か、そそくさと風丸と士郎を無理矢理連れて行くしの。
A)行っちゃった……私、変な事言ったかなぁ…
ぽつんと1人残されたAは、とりあえずこの辺りをぶらぶらしようかと動こうとした。
その時。
子文)Aさん
A)わっ!?ハ……子文くん
ポンポンと肩を叩かれて振り向くと、いつもの被り物を被った子文の姿が。
子文)よく似合ってますね!
A)ありがとう……変じゃない…かな?
子文)もちろんです、このパーティー会場で1番可愛いですよ!
A)…それはないかなぁ、私なんかよりつくしちゃんや杏ちゃんの方が可愛いし…秋ちゃんの方が大人っぽくて品があるし、しのちゃんみたいにお洒落でも無いし
何時まで経っても自分に自信を持てないAは、子文の言葉もお世話にしか聞こえない。
勿論、褒めてくれるのは嬉しいのだがどうしても真に受け入れは出来ないのだ。
子文)何を言ってるんですか!?
A)こ、子文くん?
子文が突然大声を上げたため、大袈裟ながらも驚いてしまうA。
子文)僕は冗談抜きでAさんが可愛いと思っているんですッ!
A)へ…?
子文)むしろ可愛過ぎて誘拐されたりしないか心配なぐらいですよ!!
…少しズレている回答だが、褒められているのは事実なので自然と顔が熱くなる。
A)………ありがとう
強い口調で言われたため、子文が本当にそう思っているんだということがよく分かった。
嬉しくなったAは子文に笑顔を向ける。
その笑顔に子文も満足気に頷いてくれた。
子文が趙金雲のところへ戻り、再び1人となったので今度こそぶらぶらしようと思った。
A)っ…!
突如、かかとに痛みが走った。
A)(…あ、これもしかして……だとすると一旦外に出た方が良いな)
Aは痛む足を我慢しながら外へ出た。
タツヤ)…A?
その様子をタツヤが目撃していたのだった。
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作者名：39 x他1人 | 作成日時：2023年7月28日 19時
