ドレス ページ27
子文)ふぅ…お二人はこの中から好きなドレスを選んでください!アクセ?とかコス……なんとかはこちらにあります!
しの)アクセとコスメな、ってこんな沢山の中から選んでいーの?!
「うわぁー悩むぅ!」と目を輝かせ嬉しそうな声を上げるしのに対し、Aは頭が爆発しそうな程混乱していた。
ハンガーラックにびっしりと敷き詰められるように掛けられた、色とりどりのドレスにAは口をあわあわさせながら狼狽する。
A)青、赤……黒、白……紫…
とりあえず目に付いた物を手に取りそこから捌けるように。
何も掛けられていないハンガーラックへと移してAはドレスと睨めっこする。
野坂)Aちゃんは赤が似合うんじゃない?
A)野坂くん…?
野坂)ほら、ピッタリ
少し露出の多いワインレッドのドレスに目をつけた野坂が、ハンガーラックから手に取るとその衣装をAに向けてイメージを再現する。
光)いいえ野坂さん、先輩はこっちの青の方が似合います!…ね?A先輩
張り合うような形で蝶ネクタイのタキシードを腕に抱えた光がムッとした顔で野坂とは対称的な青いドレスを手に取り、Aに押し付ける。
A)え、ええっと……
ずん、ずん、と真顔で迫る野坂と子犬のような瞳で迫る光に圧倒されるように後退るA。
困りに困ったAは近くにいた子文に助けを求める視線を送った…が。
子文)因みに、Aさんへのおすすめはチャイナドレスです!
A)いや、チャイナドレスはいいかな…
ふんすと胸を張る子文にAは苦笑いをする事もできなかった。
子文)そ、そそっ、そんなぁ!Aさんならきっと似合いますよ!
A)…足の間がスカスカして気持ち悪いもん……
子文)じゃ、じゃあせめてこの被り物をっ!
A)あはは……私はタキシードでいいんだけどなぁ…
乾いた笑いしか出ないA。
おまけにドレスよりもタキシードの方が良いと言ってしまう始末だ。
つくし)2人は私達とこっちです!
しの)うえッ?!なっ何?やだっ、つくしちゃん先輩皆の前で積極的…
杏奈)馬鹿な事言わないの…Aさんも来てください
A)ど、何処行くの…?
しのはつくしに、Aは杏奈に引っ張られながら2人は別の部屋へ連れていかれる。
……遠くから子文の悲痛な叫びが聞こえるが、Aは聞こえないふりをした。
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作者名：39 x他1人 | 作成日時：2023年7月28日 19時
