姉弟みたい ページ21
ハオ)親分!
A)ハ、ハオくん!?
ミーティングルームの扉が開かれ、やってきたのは中国に帰ったはずのリ・ハオの姿。
ハオはAに気づくと満面の笑みを浮かべながらペコッと頭を下げる。
そして大量に持っていた皿を全て監督に投げ終わるとAの元へと駆け寄る。
ハオ)Aさん、ご無沙汰してます!
ハオは人懐っこい笑みを顔全体に浮かべると、ぶかぶかの袖を翻しながらAに真正面から飛びついた。
灰崎)なっ…!てめえッ!!
これみよがしに、Aの胸元に頭を擦り寄せて抱きつくハオに灰崎の片眉が痙攣するように動く。
しの)あのクソガキャシメていい?アレ立派なセクハラだからOKだよね?
タツヤ)気持ちは分かるけど落ち着け…
その近くでは口端をピクピクと痙攣させながら拳からポキポキ、と派手な音を立てて今にも殴り掛かりそうなしのが。
そしてAの口から出た「かわいい」と甘やかす言葉に、他の者も整った顔を益々顰めた。
ヒロト)お前がそんなんだから、こいつが図に乗ったりするんだよ!いい加減甘やかすのやめろ!
A)私はいいよ、弟みたいでかわいいもん
元々面倒見がいいA。
ハオのような無邪気で、子供っぽい性格はAの母性本能のようなものを擽るのだろう。
その証拠に頭をよしよし、と撫でているのだ。
野坂)確かに、2人は"姉弟"みたいだね
光)そうですね、本当の"姉弟"みたいです
しの)こんな弟絶っっ対にゴメンだわ
"姉弟"をわざと強調させて、嫌味すら含ませた野坂と一星はそんな彼らのやり取りを傍目から眺めている。
そんな2人の言葉にしのは眉間に皺を寄せて口をへの字に曲げる。
だが、そんな嫌味はハオの耳には完全にシャットアウトであり言うだけ無駄だ。
ハオ)これからもよろしくお願いしますね、Aさん
A)うん…こちらこそよろしくね、ハオくん
頭を撫で回され嫌な気分はしないのか、ハオは気持ちよさそうにAの前で目を細める。
だが、Aの隣にいたヒロトと視線が絡んだ途端。
ハオ)はっ!
勝ち誇ったような小憎たらしい笑みを浮かべた。
ヒロト)こんの、クソ…ッ!
おまけにべーっと舌を出すのだからヒロトの額に青筋が次々と浮かび上がる。
タツヤ)(…これからは苦労が耐えないな)
彼の幼馴染みであるタツヤはヒロトから隣でドス黒いオーラを放つしのに視線を移しながら、そんな光景を眺めながら苦笑した。
だが、そう思うタツヤの瞳は酷く悲しそうに映っていた。
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作者名：39 x他1人 | 作成日時：2023年7月28日 19時
