真っ直ぐなサッカー ページ14
今までの疲労が襲ってくるように日本チーム、中国チームの誰もがその場にへたり込む。
しの)(…結局、見てるだけだったな)
A)勝っ…た…?
何も出来なかった自分の行動を悔やんでいると、Aの力の抜けたような声が聞こえ我に返る。
しの)勝った…おれら勝ったんだよ!
何が起きたのか信じられないと言わんばかりに目をぱちくりと瞬きするAの手を取るしの。
…先程までの険しい表情や焦った心境が嘘かのように、ぴょんぴょんと飛び上がる。
灰崎)お前ら…散々走り回っていたくせに、体力底無しか
しの)何言ってんだよ世界だぜ?!ほら、お前らも立つ立つ!!
灰崎)っいきなり引っ張るんじゃねえ!
明日人、灰崎、野坂の手を強引に引っ張り上げようとはしゃぐしの。
3人はそんなしのと灰崎とのやり取りを顔を見合せながら苦笑していた。
明日人)ありがとう、すごく楽しかった!
会場からの拍手に包まれながら、手を取り立ちあがった両チームの選手達。
明日人がハオ達の元へ駆け寄り声をかけA達もその後に続く。
円堂)ああ、気持ちのいいサッカーだった!
しの)100億年ぶりに正々堂々ぶつかり合えた!
明日人)そういうサッカーができた時は、勝っても負けても楽しいものさ!
A)ちょ、ちょっと明日人くん…!
シン)勝っていればもっと楽しかったけどな
A)…今のはデリカシーないよ
傷口に塩を塗る明日人の発言に、腰に両手を当てたシンを気遣いAが明日人の額を小突く。
明日人)痛でッ…そういうAだって喜んでたクセに
A)うぐっ…
その何ともない光景が逆に場を和ませ、いつしか中国と日本の間に笑い声が飛び交った。
野坂)君達とのサッカーはとても気持ちのいい真っ直ぐなサッカーだった
ハオ)真っ直ぐな…
監督)その通りです、それを皆さんに感じてもらいたかったのです!真っ直ぐで気持ちのいいサッカーを
中国ベンチから控えの選手とユウを引き連れてやってきた趙金雲が被り物を取る。
久遠)そのために中国側の監督として、我々の前に立ちはだかったのですね
久遠)サッカーの楽しさをもう一度彼らに、オリオンとの戦いに向かう者達の心に強く刻むために
明日人)サッカーの楽しさ…
シン)忘れるな、今日俺達と戦ったこのサッカーを
野坂)ああ…忘れない、君達とのサッカーを絶対に忘れたりしない
ハオ)ああ!
A)ハオくん、また一緒にサッカーやろうね
ハオ)はいっ!
Aが一歩前に出て手を差し出すとハオは大きく頷き、手を握り返してくれた。
A)(これでハオくんとはお別れだけど、またいつか…きっと会えるよね)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：39 x他1人 | 作成日時：2023年7月28日 19時
