【まほやく】雪降る科学者のソナタ (ページ4)

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.(賢者視点)

｢ほう、ついに彼奴も石になりおったか……。｣

｢悲しいのう、悲しいのう……。｣

双子は案の定部屋にいた。私が事の顛末を掻い摘んで話すと彼らは眉を下げてしょんぼりと項垂れた。その姿に偽りは無いようで、嘗ての旧友、或いは身内を悼む雰囲気すら感じられた。

双子がポツポツと語る夢の彼の話は、オーエンの言う通りどれも北らしさが無かった。華やかな祭りが大好きで、美しい物を好み、戦いよりお喋りを好む。まるで西の国の魔法使いのような逸話は話の途中で思わず笑ってしまう程であった。

｢賢者の夢に出てきたのも、きっと彼奴なりに伝えたいことがあってのことじゃろう。僕の好きな人を宜しく♡なんて、幾ら彼奴が物腰柔らかであろうと北の魔法使いは絶対に言わん。雪国で生き抜いた者には並々ならぬプライドがあるからのう。｣

｢その想い人とやらを探してみるのも良いかもしれんのう。賢者よ、直近の以来でわりと自由に北の大地を探索できそうな都合の良い調査は無いかの？｣

『そんなのある訳……、ありました。』

双子は｢賢者ちゃん面白ーい！｣｢きゃっきゃ！｣と私を囃し立てた。とんだ茶番である。北の国の南西部の雪原に厄災の影響で凶暴化した魔法生物が居るから魔法の力でパパッとどうにかして欲しい、的な依頼だ。正直な話凄く楽な依頼だと思う(感覚麻痺)からこれに決定しよう。

それにしても、あれだけ美しい人の想い人か。きっと同じくらい美しい女性なんだろうな。アーサーみたいな感じで捨てられた他国の王族様だったりして。

『それでは調査は北の国の方々にお任せしていいですか？出来れば明日には出発したいのですが……大丈夫そうでしょうか？』

｢ほほ、そう気負わずとも良い。うちの子達も彼奴の事となれば素直に従うじゃろう。それと……そうじゃな、できれば西の国の魔法使いにも同行して貰いたいところじゃ。｣

｢彼奴の無念が残留している可能性もあるからのう。派手な演出に美しい音楽でも聞かせれば彼奴はイチコロじゃろう。ってもう死んでおったな、ほほほ！｣

『(北ジョーク、怖……。)』

笑い合う双子を横目に窓から射す朝日に目を細める。金色の光は彼の髪のようで、私は思わず胸の詰まる思いがした。

会いに来てくれたんだ、私を頼って。……頑張らなきゃ。