魔入っちゃいました【魔入間】【魔主役】 (ページ19)

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第19話ページ19

「大先生、避けて！！」

ああ、もうダメだ。皆がそう思ったことだろう。
実際、大先生に向かって一直線に飛んでいくボールはもう既に避けられないだろう。

そう思ったとき。

なんと大先生はボールを避けたのだ。
奇っ怪なポーズを取って。

やば、笑いそう。

「ひ、怯むなシャオローン！挟み撃ちにするぞ！」
「刮目せよ…僕の華麗なるデビル・ダンス・レボリューションを！」

ま、また避けた…？！
というか、面白すぎる。

さっきまで私とシャオロンでいい勝負だったのに…、今この場を巻き込んでるのは間違いなく…

大先生だ！

「ちょ、大センセ…おもしろ…」

笑いすぎて過呼吸気味になっていたシャオロンの手からボールがこぼれ落ちた。
私が投げようとも考えたけど、今は大先生が投げるべきだ。本人もその気だし…。

大先生が投げたボールは、綺麗に弧を描いてゆっくりとシャオロンの手へ。

「…ナイスパス！」

思わずこんなことを言ってしまったけれど、まあ…案の定シャオロンに当てられてましたね。
前言撤回したいな…。

そのままもうひとりのクラスメートにボールを当て、私とシャオロンの一騎打ちになった。

「いよいよやな…」
「…うん。」

この一球に、すべてを込める！

私の投げたボールは、シャオロンに当たらずそのまま地面へと落ちていった。

「あれ、どこ投げてるんですか…へ？」

そしてバウンドし、シャオロンに当たったのだ。
この技は、私が小学校のときに編み出した技。

全く違う場所を狙うこと、相手の油断を誘う。ただ、力をすべて腕に込め、反射角の計算までもしないといけないので、色々と疲れるのだ。

「最初のルール説明で“ワンバンはセーフ”なんて誰も言ってなかった。つまり…」
「トイフェル・シャオロン、アウトだ！試合終了！」

「…まじか。」

＿＿＿

「では、ランク昇級者発表を行う。」

あんなずるいことしたんだから、絶対上がるわけない…。

「さよならベトご飯…」
「何やそれ気持ち悪い。」

「鈴木A。」

…？？？え、え！？

「え？な、なんで…？」
「確かにやったことは正当とは言えないだろう。だが、それでこそ“悪魔”だ。それに、あの技をするのに、相当な努力が必要だっただろう。私はそれがランク昇級にふさわしいと思った。」