あいしてるのことば (Ym × In)

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涙目で俺を見上げてかたかたと全身を震わせる伊野尾ちゃんはひどく魅力的で。

俺が諦めかけていたケーキだのどうこうを無視しても、伊野尾慧って人が魅力的なんだ。


「……伊野尾ちゃん、」


名前を呼べば、ぽろりと涙が溢れて、伊野尾ちゃんの体がびくりと跳ねる。


「わかったと思うけど、その……俺、フォークで、」

「た、食べないで……嫌だ、死にたくない……！」

「食べない。絶対に食べない。
俺が理性をなくしたら、テレビの前ででもプライベートの街中ででも、こいつはフォークですって叫んでくれればいい。

だから、お願い、俺から離れないで。」

「ほぇ……？」

「俺、アイドルやってっから……ケーキなんて探せないなって、諦めてて……だから、今すっごい驚いてるんだけど……その、えっと、」

「……うんと、落ち着いて、からで、いいよ……」


だんだんと伊野尾ちゃんの体から緊張が解けていく。
言ってることが全部本当のことだって、わかってくれたのかな？


「えっとね……俺自身、人を食べるのに……ものすごく嫌悪感があるの。
でも、伊野尾ちゃんは味わいたい。
それは、伊野尾ちゃんのこと殺して食べたいって意味じゃなくて、その……」


恥ずかしいんだけど、と前置きをして顔を見ると、不思議そうに顔を傾けた。


「食べる以外にね、味わう方法ってさ……ほら……舐める、しか、ないじゃん、」



そう言うと、伊野尾ちゃんがぼぼぼっと赤くなった。

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