十七話 ページ17
「上手く行くと良いけど」
笑顔で手を振る二人にそんな風に呟いて、やがて彼等の背が見えなくなった頃、私は軽く首を回して日用品売り場へ向かった
「うっわぁ…すごい種類」
10年前に比べれば、デザイン、機能性、あらゆる点で秀でているらしい新たな商品が所狭しと並んでいる。
豊富なカラーバリエーションに、チカチカする目頭をおさえながら店内を歩き、出来るだけシンプルなものを選んでかごへ入れていく
「あっ」
「むっ」
真っ白な歯ブラシを取ろうと伸ばした手がぶつかる
思わず顔を上げると、端正な顔をした男性と目があった
切れ長の瞳に、バランのような特徴的なヘアバンドをした男がむっつりとこちらを睨み付けていた
「……ああ、すいません。どうぞ」
譲るように一歩引き下がると、男は歯ブラシをとり、買い物かごへ放り込んだ
「……悪いね」
「いえ、こちらこそ、すみませんでした」
そう言うと、男は暫く私を見た後に、フンと鼻を鳴らしてツカツカと去っていった
一体なんだったのだろうか……
ふぅ、と小さく息を吐いて、再び歯ブラシの棚を見る。
けれど、どれも柄が入っていたり、色が好きでなかったり。
自分の生活で使うものだ、やはり自分の趣味に合わせたものが良い。
仕方無い、別の店を探しに行くとしようか
「――――もし、そこの貴女。
貴女ですよ、貴女、ブロンドの貴女」
背後から聞こえた低い声に、振り返る
「……私ですか?」
「そう、貴女です。歯ブラシをお探しなのでしょう?」
にっこりと微笑んだ男に、何故だか私は、背筋がぞくりと粟立つのを感じた
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金剛石 - 続き気になると思ったらめっちゃ前の作品かーい^_^ (9月14日 11時) (レス) @page26 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
無益(プロフ) - 続きみたいと思ってきたら7年前の作品かーい^^ (7月24日 23時) (レス) @page26 id: 21d8a5b4ec (このIDを非表示/違反報告)
じゃがりこの虜(プロフ) - 続き見たいと思ったら数年も前の作品かーい^_^ (2022年6月20日 21時) (レス) @page26 id: 9b1b149eae (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 更新の希望あるかなってコメント見にきたら6年前の作品かーい^_^ (2022年6月5日 22時) (レス) @page26 id: 81e883109e (このIDを非表示/違反報告)
れい - 更新待ってます!! (2021年8月4日 23時) (レス) id: 231e6087c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲出雲 x他3人 | 作成日時:2016年5月6日 22時