十三話 ページ13
「A…」
俺の腕の中で静かに涙を流すAは、今まで見たどんな人間よりも儚く、弱々しく、幼げで、何よりも美しかった
「……悪いな仗助、Aが落ち着いてから、今回の件については説明する」
「わ、わかりました……」
仗助達そう言っては気まずそうにその場を後にする
そうして、やがて幾分か涙の落ち着いたAから、掠れた声が聞こえた
「じょう、たろう」
「ああ」
「とうさん、は」
「……DIOはもう死んだ」
そう言うと、Aは何かに耐えるようにぎゅっと拳を握りしめた
「折角…漸く、見つけたのに、酷いよ…どうして、何で私から、父さんをっ…!」
「落ち着け、A。アイツはお前の父親じゃあない。
……わかってるだろう?」
「違う!あの人は私の父さんだよ……今までの誰よりも優しかった、私を、愛してくれたのに!!どうして……どうして…」
再びぼろぼろと大粒の涙が零れ落ちる。
まるで子供がそうするように、感情のまま言葉を吐き出したあと、俺にすがり付くようにして、何度も譫言のように¨どうして¨を繰り返した
「A」
「あの人だけだったのにぃ……!」
Aの、心からの言葉だった。
幼い頃から、親戚の家をたらい回しにされ、どの家でも¨酷い¨扱いを受けてきた。
例えば暴力。例えば罵り。無理矢理身体を開かされた事だって。
そんな風にして出来上がったのが御神 A
という人間だった。
本心を見せず。
ただただ無表情に。
人の顔色を読み。
嘘で塗り固め、自らの身を守る。
誰も、Aを守ろうとしなかった。
こんなにも幼く、無知で、不安定なAを始めて見抜いたのは、親でも、クラスメイトでも、ましてや俺でもなく。
あのDIOだった。
紛れもなく、AにとってDIOは、かけがえのない、唯一の存在だったに違いない。
そんな存在を殺した俺を、きっとAは許さないだろう。
死ぬまで恨み続けるだろう。
「―――好きなだけ恨んでくれて構わねぇ。
けどな」
「何を言われようと、どれ程恨まれようと、俺はお前から離れるつもりはねぇ。
お前は、俺の親友に変わりねぇ」
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金剛石 - 続き気になると思ったらめっちゃ前の作品かーい^_^ (9月14日 11時) (レス) @page26 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
無益(プロフ) - 続きみたいと思ってきたら7年前の作品かーい^^ (7月24日 23時) (レス) @page26 id: 21d8a5b4ec (このIDを非表示/違反報告)
じゃがりこの虜(プロフ) - 続き見たいと思ったら数年も前の作品かーい^_^ (2022年6月20日 21時) (レス) @page26 id: 9b1b149eae (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 更新の希望あるかなってコメント見にきたら6年前の作品かーい^_^ (2022年6月5日 22時) (レス) @page26 id: 81e883109e (このIDを非表示/違反報告)
れい - 更新待ってます!! (2021年8月4日 23時) (レス) id: 231e6087c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲出雲 x他3人 | 作成日時:2016年5月6日 22時