第四話 ページ5
そんな声は自分の被害妄想かもしれない。
実際にそんな声は聞こえないかもしれない。
でも、私は"ダメ人間"だから。
こんなことを言われても反論する筋合いはないし。
諦めよう。諦めて、全てを受け入れよう。
そう思ったら案外楽だった。
小学校も中学校も酷い、い，じめとまではいかないが、影では何を言われているかわかったものではなかった。
そして、家にも、私の居場所は何処にもなかった。
「いい加減にしてよっ。なに？この成績は？はぁああ。もう‥。」
『ごめん、なさい‥。』
「謝る以外のことをしてみたらどうなの！？謝る暇があったら勉強しなさいっ！」
『はい‥。』
そう、自分の部屋に戻って、勉強する。なんてこともあった。
涙、何てものはいつしか枯れて出なくなった。
希望も、夢もなく生きている。生かされている。辛いなんて感じないほど、私のココロは衰弱しきっていたのかも知れない。
『何も感じないな‥。』
そんな、中での唯一の希望は、勝己と、出久だった。
「ほら、Aっ！おいていくぞ、ノロマ！」
「Aちゃん、ほら、大丈夫？一緒に学校いこう？」
そんな、二人の優しさに何度救われたことだろうか‥。
勝己は、私にあんな目に逢わされても仲良くしてくれるし、出久はいつも私の心配をしてくれる。それだけでも、すごく嬉しかった。
そして、中三になった。
勝己と出久の仲は悪くなるばかりだった。
私も親との関係は溝が深まるばかりだった。
「あなたは、雄英高校に入りなさい。そこにはいるだけで、人生は変わるのよ。まぁ、あなたには無理な話かもしれないけど、お母さんが絶対にいれてあげますからね。」
『‥は？』
「は？とは、何よっ！あなたをここまで育ててあげたのは誰？お母さんよっ！
何も出来ないあんたに、反抗する権利なんてないわっ！」
出久は無個性でも、雄英高校に入ろうと努力して、勝己は、口が悪くてもヒーローになろうと頑張ってて。
私は、何の理由もなく、雄英高校に"入らされる"。
きっと、そのときだろう。私の中の張り詰めた糸が切れたのは。
ぷつんと音がしたように感じた。
私の世界は、灰色だ。色なんて何もない。
何も感じない。冷たさも痛さも苦しみも。
こいつらは、屍だ。
そう、悟った瞬間にわたしは、個性を発動した。いいや、していたの方が正しいだろう。
理由は些細なことかもしれない。でも、今までに蓄積された全てが私を押し潰して、離さなかった。沈みかけた夕日が私の背を押した。
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鶉野 - 応援、ありがとうございます。面白いと思ってくださったのなら嬉しい限りです。更新、頑張らせて頂きます。 (2020年5月25日 6時) (
レス) id: 1589f04ac1 (このIDを非表示/違反報告)
ヱる - 凄く面白いです。主さんのペースで無理せず更新頑張ってください。 (2020年5月25日 0時) (レス) id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶉野 | 作成日時：2020年5月18日 14時
