第二話 ページ3
幼い頃から、私はどんくさかった。
何をやるにも人よりも遅くて。
母も「母さんに任せておきなさい」
何て言って。
習い事を沢山週のスケジュールの中に詰め込んだ。私が望んでいない習い事までだ。
そろばん、水泳、書道、塾、剣道‥。
私にとってはどれも無理な話だった。
できるだけ、いいだろう、望まれている、期待されているなんて言う人もいるが、やらさせるのは、ただ苦痛になるだけだ。
それに、運動も勉学も人よりも出来ないのだ。
それに呆れた母は、私にぐちぐちと文句を言うようになった。
「あんたは、本当に取り柄がないから。あんたよりも優秀な子がよかったわ。」
『ごめん、なさい。』
「ふん、謝る暇があったら、勉強でもしたら？」
なんて、言われる。
唯一の救いは幼馴染みだ。
勝己と、出久。二人は優しかった。
家も近いこともあり、仲が良かった。
出「ねぇ、Aちゃん、遊ぼう？」
勝「おい、A！いくぞっ！」
『うんっ！』
よく、遊んだものだ。二人は私の味方だった。
母も外面だけはよくて、
「いいわね〜勝己くん。なんでも出来て。うちの子なんて、さっぱりで。」
光「いいえ、そんなこと無いですよ。Aちゃん、しっかりしてて‥。」
「そんなことないわよ〜。出久くんも可愛げがあって、年相応の男の子で…」
引「そ、そんなこと‥。」
猫なで声で、話すだけで、私は反吐が出そうだった。
父はというと、全くというほど私に興味はないらしく、仕事大好き人間だ。
声をかけても無視される。
私は何も、望んではいけない。
自由なんてものは何処にもない。
幼い頃に悟った、あまりにも酷な、現実だった。
‥でも、四歳の頃から私の周りは急変する。
出「僕がゆるへゃないぞ！」
勝「ヒーロー気取りか、デク！！」
出久が、無個性だと、わかってから仲がよかったはずの幼馴染みの関係は崩れた。
『や、やめなよ、勝己。』
勝「うるさい！Aは、下がってろ！」
と、ドンッと突き飛ばされた。
『出久っ！！』
その、ふとした拍子に私の個性が発動してしまったようで。
その当時、私は自分の個性が分からなかったので、苦しみ出した勝己に恐怖で血の気が引いていくのを感じた。
勝「なんだ、これっ、体がっ。」
『勝己っ、大丈夫？すぐ、大人の人呼ぶから。光己さん呼ぶから、待ってて。』
そう、私は公園から駆け出した。
結局、私は子供だったため、毒が弱く体に回るのも遅かったらしく、勝己は一命を取り留めた。
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鶉野 - 応援、ありがとうございます。面白いと思ってくださったのなら嬉しい限りです。更新、頑張らせて頂きます。 (2020年5月25日 6時) (
レス) id: 1589f04ac1 (このIDを非表示/違反報告)
ヱる - 凄く面白いです。主さんのペースで無理せず更新頑張ってください。 (2020年5月25日 0時) (レス) id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶉野 | 作成日時：2020年5月18日 14時
