第六話 ページ7
勝己の時は幼く、咄嗟の個性の発動だったので、大事には至らなかった。
だが、今はどうだ。
私は成長した。その分個性も強くなっている。
きっと、毒性も強くなっているだろう。
痛みもあの時の比ではないはずだ。
私は自分の個性は、毒針ではないと気づいたのは、勝己の腕を見たときだ。
幼く毒性も弱かった為か、ぱっとでは、気づかないほどのほんのりと薄いピンクの跡が残っていた。今は、もうないが‥。
ただの毒針ではないんじゃないかと思って家の図鑑で調べたが吉と出たのか、カツオノエボシと症状が似ていた。
ピンクの跡、電撃のような痛み、ピンクがかった触手。全てが当てはまる気がしてならなかった。
それ以来、自分自身もこの個性が怖く、二度と使うまいと思っていたが、こんなところで役に立つとは、思わなかった。
「何を‥してるのよ‥。お母さんに‥何をしたの‥？」
母は、首の患部を手で覆い、痛みに悶えていた。木目の床に転がった姿を私はただ、立って眺めているだけだった。
もう一回、刺したらこいつは＿＿＿＿。
「‥‥何を‥している‥？」
『お父さん‥？』
しまった。今は夕方だ。帰ってくることが頭から抜けていた。
リビングの扉で立ち往生をしている父。
動揺しているのか、分かりやすく、鞄を落とした。
「やめろ、おい、聞いているのか、A」
「そう‥よ。助けなさいよ‥!!実の母に向かって‥！」
『うる‥さい‥。』
「うるさいとは、なによ！A!!」
「と、取り敢えず救急車呼ぶぞ‥。」
『や、止めて‥!!』
何も私のことなんて気にかけなくて
母の言うことで私が苦しんでいることを知っていた癖に
何故
無視したの‥？
私は、
全部
苦しかったのに‥
今じゃもう、何も…
『止めて‥‥‥‥！止めて!!』
気づいたときにはもう私には歯止めが効かなくなっていた。
震える手を握りしめて、虚ろな目を開き、両親に髪を伸ばす‥。
青い髪からは粘液が出て、ピンク色になる。
「お、おい、止めろA!!」
「止めてっ！なんで‥今まで、いいこだったでしょ？」
『もう‥何も‥分からない‥。お願い…。』
視界が涙で歪んだ。目は虚ろに開かれたまま。
私は、両親に触手を向け、そのまま、首に巻き付けた。
「あ、がっ、あっ」
「うぐっ、ぐぐぐっ」
両親は、両手で首をおさえて痛み出した。母は、二回刺したからきっと＿＿。
父は、どうだろうか。苦しんではいるが＿
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鶉野 - 応援、ありがとうございます。面白いと思ってくださったのなら嬉しい限りです。更新、頑張らせて頂きます。 (2020年5月25日 6時) (
レス) id: 1589f04ac1 (このIDを非表示/違反報告)
ヱる - 凄く面白いです。主さんのペースで無理せず更新頑張ってください。 (2020年5月25日 0時) (レス) id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶉野 | 作成日時：2020年5月18日 14時
