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『器を持ったのは…』
言おうとして少し留まった。
…昨日せっかくごまかしたけど、あれは無駄になりそうね。
「いかがしましたか」
『ああ、なんでもないです。器を持ったのは全部でおそらく4人です』
「… 4人ですか」
『はい。まず器の周りに触れた3人…
それらの指痕だと思います』
「それが事実だとすれば、気になるのは不明な誰かと徳妃の毒味役ですね
しかし…なぜ毒味役が?」
『…簡単なことです。徳妃の食べられないものを分かっていて、わざと玉葉妃の器とすり替えたのでしょう
明確な悪意を持ったいじめです』
「いじめ……上級妃に対して侍女が?」
高順さまは信じられない、というような顔をする。
でもこちらは実際に見たのだから、この予想は概ねあっているのだと思う。
『信じられないようですね』
「知っていることを聞かせて下さい」
『…これはあくまで私の憶測ですよ?』
「問題ありません」
『…。里樹妃の園遊会での衣装を覚えていますか?』
「……はい。確か派手な濃い桃色の」
『そうです。普通に考えるなら、明らかに玉葉妃と被っています…
あの衣装を妃が選んだ場合、侍女は妃に他の衣装を勧めるか、そうでなければ妃に準ずる衣を着るはずです
ですが、お付きの者は皆白い衣を着ていました
あれでは桃色の衣装を着ていた里樹妃は道化同然です』
侍女は主を立てるものである。主を立てるために地味な格好をするのだ。
そうなると、あの日侍女同士が揉めていた件も違う見方ができる。
妃にとってふさわしい衣装とは何か、それすら分からない。分かっていて進言できない。
そんな不甲斐ない里樹妃の侍女たちを淑妃は諌めていた。
『敵だらけの後宮の中で、妃が真に信じられるのは自分の侍女だけです
年若い里樹さまは、侍女たちに似合うと煽られ、あの衣装を選んだのだと思います。なんの疑いもなく…
その気持ちにつけ込んで、侍女たちがわざと妃に恥をかかせたのだとすれば、あの衣装にも納得がいきます』
「侍女たちはそれだけでなく、食事に入れ替えてさらに里樹妃を困らせようとしたと?」
『ええ。結果として命拾いしましたけど…嫌なやり方です』
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マニ。(プロフ) - センバヅルさん» ✉️。有難うございます!!あのゼンバヅルさんの方のボードにボード返事しましたので通知来てると思います、ボード返事待ってますね! (1月6日 21時) (レス) id: 41ef0d9a5c (このIDを非表示/違反報告)
センバヅル(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます!ボードで会話、ぜひやりましょう!!いつしましょうか、お返事お待ちしていますね。更新頑張ります^_^ (1月6日 21時) (レス) id: 9774232d7d (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - センバヅルさん» ✉️。こんにちは、いつも作品見ています。もしよろしければボードで一緒に会話しませんか?お返事お待ちしています、更新の方も無理せずに頑張ってください☺️ (1月6日 21時) (レス) @page1 id: 41ef0d9a5c (このIDを非表示/違反報告)
センバヅル(プロフ) - なななさん» 明けましておめでとうございます〜!今年も引き続きよろしくお願いします(*^^*)更新頑張りますね! (1月1日 1時) (レス) @page21 id: 9774232d7d (このIDを非表示/違反報告)
ななな - 新年おめでとうございます!いやあああ…2024年ですか〜これからも応援してます! (1月1日 0時) (レス) @page16 id: 7215328c99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:センバヅル | 作成日時:2023年12月27日 18時