35〈推理〉 ページ35
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『居間を貸していただいてもよろしいでしょうか』
「わかったわ、すぐに呼ぶわね。紅娘」
「はい」
公主のお世話をしていた紅娘さまはご機嫌な様子で高順さまを呼びに行った。
その後ろ姿を、玉葉さまはにこにこしながら送り出したのであった。
『(……意外と近くに居たのね、高順さまに心を掴まれた人…)』
「壬氏さまから預かってきました」
『これは、玉葉妃が食べるはずだった
(ご丁寧に持ってきてくれたということは、何か調べろということね)』
それをじっくり観察する…のだが、高順さまがじぃぃぃ…っと私を見ていて集中できない。
『…どうかしましたか?』
「食べないでくださいね」
『食べません』
やっと口を開いたかと思うと、そんな事を言ってきた。
私を何だと思っているのだろう。
『銀は腐食が激しいので、今はもう酸化していて美味しくありません』
「美味しく……」
高順さまが信じられない、とでも言うような目で見てきたが…それは気にしないことにする。
『それより…これ、素手で持ったりしましたか?』
「いいえ。器には触れず毒かどうか中身を匙で取っただけです。その後はすぐに布で包みました」
『なるほど。…ふふ、少しお待ち下さい』
高順さまにそれだけ言い残して、私はある場所に向かったのだった。
「綿と粉と筆ですね」
ちなみに粉は台所から、筆と綿は寝所から持ってきた。
「これで何を?」
『私がよく通っていた薬屋では、悪戯防止に触れてはいけない器に染料をつけていました。これはその応用です
簡単にできますよ?
小さく丸めた綿に、量に気をつけながら粉をつけて、器にまぶしていきます
最後に筆で余分な粉を落とせば……出ました!』
「白い痕がありますね」
『人間の手が触れた場所です。指先は脂が出やすいので、金属などに触れると痕が残ってしまいます
腐食しやすい銀食器ならなおのこと…
もちろん銀食器に曇りがあっては意味がありませんので、食器磨きは器に指が触れないよう注意して拭いているでしょう』
「ふむ…つまり、今ここに残っている指の痕は磨かれた後に食器を持った人間のものだと」
『そういうことです
粒の粒子が大きいので少し見難いですが、指の痕の大きさと位置で、どのように持ったのかくらいは推測できるでしょう』
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マニ。(プロフ) - センバヅルさん» ✉️。有難うございます!!あのゼンバヅルさんの方のボードにボード返事しましたので通知来てると思います、ボード返事待ってますね! (1月6日 21時) (レス) id: 41ef0d9a5c (このIDを非表示/違反報告)
センバヅル(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます!ボードで会話、ぜひやりましょう!!いつしましょうか、お返事お待ちしていますね。更新頑張ります^_^ (1月6日 21時) (レス) id: 9774232d7d (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - センバヅルさん» ✉️。こんにちは、いつも作品見ています。もしよろしければボードで一緒に会話しませんか?お返事お待ちしています、更新の方も無理せずに頑張ってください☺️ (1月6日 21時) (レス) @page1 id: 41ef0d9a5c (このIDを非表示/違反報告)
センバヅル(プロフ) - なななさん» 明けましておめでとうございます〜!今年も引き続きよろしくお願いします(*^^*)更新頑張りますね! (1月1日 1時) (レス) @page21 id: 9774232d7d (このIDを非表示/違反報告)
ななな - 新年おめでとうございます!いやあああ…2024年ですか〜これからも応援してます! (1月1日 0時) (レス) @page16 id: 7215328c99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:センバヅル | 作成日時:2023年12月27日 18時