もう一人の薬屋は絶世の美女。【薬屋のひとりごと】

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『しかし気管支が狭まり呼吸困難になりました


少量でも発疹ができるので量の調整が難しく治りも遅い…


食べられないとはそういうことです


里樹さま、お腹の調子は大丈夫ですか？吐き気や痙攣はないように見えますが…


よかったら下剤を調合しましょうか？』





里樹妃は顔を真っ赤にして首を横に振った。



…流石に見ず知らずの人にそう言われて頷いたりはしないわよね。



ここには宦官もいるのだし…恥ずかしいだろう。



まあ兎に角、そこまで重症でないのなら大丈夫だ。





『それではここからは腰掛けて聞いてください』









『園遊会の食事は明らかに後宮側が用意したものでした


玉葉さまには好き嫌いがございません。ですので、ほとんど主上と同じものを召し上がります


しかし出されたなますはいつもと具材が違いました


おそらくですが…何かの手違いで、玉葉さまと里樹さまのお食事が入れ替わっていたのだと思います


…里樹さま、食べられないのは鯖と鮑ですか？』





里樹さまは頷いた。



それを見た毒見役の人が顔を青くする。



やはり、そういうことなのだろう。





『食べられない人間にしか分からないものですが、これは好き嫌い以前の問題です


今回は蕁麻疹程度ですみましたが、時には心不全や呼吸困難を引き起こし最悪の場合も考えられます


もしそれを知っていて与えたなら…毒を盛ったのと同じことなのです


里樹さまは場の雰囲気もあって言い出せないことだったのでしょうが、非常に危険な行為でございます


…そこの貴方、確か毒見役でしたよね？』





その女性は震えながらはい、と答えた。





『万が一妃が口にしてしまったら、すぐに吐き出すようにしてください』





勿論、摂らないのが一番ですが。と低い声で付け足す。



彼女が俯いているのを横目に、あるものを手に取った。





『詳しい注意事項は、お二人が来る前にまとめておきました


難しいことはありません。しかし一つ間違えれば医官であろうと対処できない問題であること、




ゆめゆめ、忘れないようにしてくださいね』





ニコッと笑いながら注意事項を書いた巻物を渡した。



きっと目が笑えていなかったのだろう、毒見役の受け取る手が震えていた。



まあ脅しが効いたのなら何よりね。




里樹妃はよろめきながら、毒見役の女性は青い顔のまま、執務室をあとにしたのだった。




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