もう一人の薬屋は絶世の美女。【薬屋のひとりごと】

25〈園遊会〉 ページ25

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「正一品の妃…上級妃である四夫人


”貴妃”玉葉妃


”賢妃”梨花妃


”徳妃”里樹妃


”淑妃”阿多妃


前回、玉葉さまも梨花さまも出産直後で欠席したから、今回四夫人が揃うことになったのよ」



『そこで私達は何を？』



「それが、特に何もしないのよね」



「ふふっ、私達は招かれる立場だから、ただ皇帝に付き従っていればいいのよ」



「たまに官が挨拶に来るから笑顔を振りまくのを忘れずにね」



「えっ…それ、全員参加ですか？」



「当ったり前でしょ！


今回は鈴麗公主(リンリーひめ)のお披露目に、上級妃の揃い踏みとイベント満載！


これは戦いなの！心してかからないと！やるわよー！」





気合が入りすぎて燃えている桜花。



猫猫は深いため息をついた。





「(ただでさえ侍女の少ない玉葉様だ、新人が辞するわけにはいかないか


それに食事がある以上毒見役は必要不可欠)」



「猫猫はやっぱり胸元に詰め物をしたほうがいいわね。腰回りもかさ増しするけど大丈夫？」



「お任せします」



「フフッ、お化粧も気合い入れるわよ。たまにはソバカスも隠さなきゃ


Aは…うん、お化粧だけしましょう！」





顔の少し下の方を凝視しながら言うのはやめてほしい。





「突風が吹く屋外で出し物を見て、食事を食べて、挨拶に来る官たちに笑顔を振りまく


…間違いなく鉄の膀胱が必要になるな」



『…あ、そうだ。猫猫アレを作らない？』



「そうだな」










「いい香りね〜。何を作っているの？」





紅娘さまが匂いに気付いて声を掛けてきた。





「生姜と蜜柑の飴です」



「飴？」



『蜜柑の皮は血行をよくし、生姜は体を温める作用があります』



「あっ、もしかして園遊会のために？」



『はい。それと…一応これも。肌着にポケットを縫い付けました


中に温石を入れれば寒さを防げるかと』



「A、猫猫！」



「え？」



「お願い、全員分作って！」



『「は、はい…」』






「慣例に慣れると、ちょっとした事も思いつかなくなるんだな」



『そうね…』





誰かが部屋の扉を叩いた。



猫猫がどうぞ、というと、壬氏さまと高順さまが入ってきた。





「私の分もお願いしよう」



「わ…私もぜひ」



『はい』






「作り方教えてください」



「お願いします」



『(皇帝直属のお針子と食事係まで…)』






…本番はどれだけ寒いのだろうか。




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