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梨花妃の容体は思った以上に悪かった。
雑穀の粥を重湯に作り直したが、匙から吸う気配はない
仕方なく無理やり口に流し込み嚥下させる。
根気強くしつこいくらいに繰り返した。病なんてご飯を食べないと治らない。
部屋の換気を行うと、体臭をごまかす為に焚かれていた香が薄れ、病人特有の匂いがする。
『(あの侍女達は主人の体もまともにふけないの…本当に無能ね)』
「ヒッ」
「湯桶と布の準備」
ことあるごとにお茶を飲ませた。
時折薄い
一度に食べる量が増えると、少しずつ米粒の量を増やし
嚥下出来るようになると、汁物とおろした果物も加えた。
「……して……のか」
『「?」』
「どうしてあのまま、死なせてくれないのか」
「…ならば、食事をとらねばいいことです」
『粥を食むということは、死にたくないからでしょう?』
「そうか……」
『…ええ』
「…そうか」
『ええ』
梨花さまはそう言うと涙目で微笑んだ。
私と猫猫も、自然と笑顔になるのだった。
その後白粉を回収し損ねた宦官は鞭打ちの刑に、あの侍女は謹慎を言い渡されたと聞いた。
*
毒を排出する生活が二ヶ月程続いた頃、梨花妃は散歩が出来るほどまでに回復していた。
新たに毒を取らなければ、もう体に問題はないだろう。
回復すれば罵倒されると思っていたけど…そんなことはなかったわね。
自尊心はあるが傲慢ではない
東宮の件から、嫌なお嬢様を想像していたけど、実際は十分妃に相応しい人格を持っているようだ。
「ねえ、私はもう子は成せないのかしら」
「わかりません。試してみればよろしいかと」
「帝の寵愛は潰えたのに?」
「私達は主上の命でここに来ました
私達が翡翠宮に戻れば、帝も梨花さまの元に来られると思いますが」
それが政治的であれ感情的であれ、後宮という仕組みには恋や愛など関係ない。
それでも梨花妃は顔をあげずに呟く。
「忠告の言葉も聞かず、みすみす我が子を殺した女が玉葉妃に勝てるのかしら?」
『勝てる勝てないの問題ではないのです
世には百千の花がありますが…
牡丹と菖蒲のどちらが美しいかなんて決めつけるものではないと思います』
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祝2024!明けましておめでとうございます!!今年もよろしくお願いします\(^o^)/
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マニ。(プロフ) - センバヅルさん» ✉️。有難うございます!!あのゼンバヅルさんの方のボードにボード返事しましたので通知来てると思います、ボード返事待ってますね! (1月6日 21時) (レス) id: 41ef0d9a5c (このIDを非表示/違反報告)
センバヅル(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます!ボードで会話、ぜひやりましょう!!いつしましょうか、お返事お待ちしていますね。更新頑張ります^_^ (1月6日 21時) (レス) id: 9774232d7d (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - センバヅルさん» ✉️。こんにちは、いつも作品見ています。もしよろしければボードで一緒に会話しませんか?お返事お待ちしています、更新の方も無理せずに頑張ってください☺️ (1月6日 21時) (レス) @page1 id: 41ef0d9a5c (このIDを非表示/違反報告)
センバヅル(プロフ) - なななさん» 明けましておめでとうございます〜!今年も引き続きよろしくお願いします(*^^*)更新頑張りますね! (1月1日 1時) (レス) @page21 id: 9774232d7d (このIDを非表示/違反報告)
ななな - 新年おめでとうございます!いやあああ…2024年ですか〜これからも応援してます! (1月1日 0時) (レス) @page16 id: 7215328c99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:センバヅル | 作成日時:2023年12月27日 18時