15〈月下の幽霊〉 ページ15
*
「私の分もお願いするよ」
「はっハイ、ただいま」
私達が伸ばした手がお煎餅に触れることはなく空を切ってしまった。
全てはこの男…
「お仕事ご苦労」
「それほどではございません」
『……』
壬氏さまのせいである。どれだけ暇なんだ。
『(宦官ならば内侍省にいるべきだろうに、
どこの部屋にも所属せず後宮全てを監視しているようだし…
となると宮官長よりも上の立場…帝の後見人の可能性もあるがそれにしては若すぎるし
……あ。
皇帝の愛人ということにしておくか)』
「A、ものすごく失礼なことを考えている顔に見えるのだが」
『そんなことはありませんよ?』
「そうだ老師、すまないが奥からこれを取ってきてくれ」
壬氏様が医官に渡した紙には文字がズラッと並んでいた。
…初めから私達に用事があったのか。
「で、本題はなんですか?」
「幽霊騒ぎは知っているか?」
『噂程度に』
「じゃあ、夢遊病というのは」
「(…夢遊病!)」
猫猫の目が輝く。
それを見て私と壬氏様は笑ってしまった。
「わかりやすいことだ」
『ふふっ』
「どうやったら治る?」
『…この流れでどうして私に迫るんですか』
「何となくだ。で?」
『はあ…少なくとも薬で治せる病ではないです』
「薬ではというと、何なら治るんだ」
『知りませんし分かりません』
そう答えて顔を逸らしたが、それでも壬氏様は迫ってくる。
正直に言おう、少し…いや普通にうざい。
どれだけ粘着質なのだろうこの人は。
猫猫に目で助けを求めるも、顔を逸らされてしまった。
もう助けてくれる人も居なくなってしまったし…仕方ない。
『…努力します』
*
『(壬氏様の付き人か…この人は精悍だし、あまり宦官っぽくないなあ)』
陽の気を物理的に取り払っているため、多くの宦官は女性的になる。
壬氏さまや医官さまなんかがいい例だ。
体毛は薄く、性格は丸く。
性 欲の代わりに食欲が増すため太りやすい。
何故この道を選んだのか…とは流石に聞けないね。
「猫猫さま、Aさま」
「敬称はいりません。高順さまの方が位は高いでしょう」
『私のことはAとお呼びください』
「では…子猫、A」
「(いきなり小付けですか…)」
「壬氏さまを毛虫を見るような目で見るのはやめていただけませんか」
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マニ。(プロフ) - センバヅルさん» ✉️。有難うございます!!あのゼンバヅルさんの方のボードにボード返事しましたので通知来てると思います、ボード返事待ってますね! (1月6日 21時) (レス) id: 41ef0d9a5c (このIDを非表示/違反報告)
センバヅル(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます!ボードで会話、ぜひやりましょう!!いつしましょうか、お返事お待ちしていますね。更新頑張ります^_^ (1月6日 21時) (レス) id: 9774232d7d (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - センバヅルさん» ✉️。こんにちは、いつも作品見ています。もしよろしければボードで一緒に会話しませんか?お返事お待ちしています、更新の方も無理せずに頑張ってください☺️ (1月6日 21時) (レス) @page1 id: 41ef0d9a5c (このIDを非表示/違反報告)
センバヅル(プロフ) - なななさん» 明けましておめでとうございます〜!今年も引き続きよろしくお願いします(*^^*)更新頑張りますね! (1月1日 1時) (レス) @page21 id: 9774232d7d (このIDを非表示/違反報告)
ななな - 新年おめでとうございます!いやあああ…2024年ですか〜これからも応援してます! (1月1日 0時) (レス) @page16 id: 7215328c99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:センバヅル | 作成日時:2023年12月27日 18時