もう一人の薬屋は絶世の美女。【薬屋のひとりごと】

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猫猫side




女官の中には字を読めない者も多くいる。



後宮に勤める以上事前に礼儀は叩き込まれるが、学となると話は別だ。



田舎娘の識字率なんて半分いけば上出来だろう。



そんな下女でもごく稀に下級妃になることがある…



…要は見た目だ。





「…」





…私には関係ない話だな。なりたいとも思わないし…



でも、Aならその可能性は十二分にある。



なんせ顔が良すぎる。…それに溢れんばかりのたわわな実も持っているときた。



少し天然なところがあるものの、そこも可愛いのだ。



実際、それを使って誘拐犯に身を売られるのは防いだのだから。



あれは正直ヤバかった。もし私がされてたら確実に惚れてただろうな…



それに……って、Aの良いところをあげていたらキリがないな、やめよう。




まあともかくだ、結局文字が読めても別の仕事が待っている



なら別に今のままで困らない。



給金が上がったところで、誘拐犯に間引きされる金額が増やされるだけだ。



大人しく働いていればそのうち出られる。









＊









Aside




「やっぱり呪いなのかな！？」



「…なんの話？」



『さあ…？』





宮中では噂話が闊歩する、こんな話は日常茶飯事。



ちなみに今声をあげた女の子は小蘭だ。





「Aと猫猫知らないの！？後宮で生まれるお世継ぎの連続死！」



『「…」』



「今までの帝の御子が三人とも生まれて亡くなるだなんておかしいと思わない？」





妃が産んだ子ども…後の世継ぎのなられる「宮」は現皇帝が即位前に一人、皇帝になられてから二人



その三人共が乳幼児の頃に亡くなっているらしい。



今は生後三ヶ月の男児の宮「東宮」と六ヶ月の女児の宮「公主」の二人の宮が存命だ。



後宮で一番大きな部屋に住むのが東宮のご生母、梨花妃



帝に妃が居ない今、東宮の母親である妃は最高権力者といえる。



でも、皇帝の寵愛は公主のご生母、玉葉妃に傾いているようだ。





「そして今度は玉葉妃の所にも梨花妃の所にもお医者様が入っていったって！


やっぱり呪いだよ！」



「(呪いなんてくっだらない)」





……呪い、ではないと思うんだよねえ…



皇位争いで公主が狙われる理由はないから、毒を盛られた可能性は少ないだろう。



あるとすれば病気か…もしかして血筋とか？





『先代ってどんな風に亡くなられたの？』



「えっとね、私も詳しくは知らないけど…」




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