story49【佐久間side】 ページ3
木野に背中を押して貰い、少し勇気が出た。
よし。勉強会が終わったら告白しよう。
A「佐久間君…？」
―ﾊｯ
篠音の声で我に返る。
佐久間「え！？あっ、何…？」
A「何って…。聞いてた？」
佐久間「ごめん、聞いてなかった…」
A「もぉ〜。これは何て訳すでしょう？」
佐久間「えーっと…『花子は彼らとテニスをします』？」
A「違うよ〜。『花子はその時テニスをしてました』だよ？」
佐久間「あ、あぁ…。ごめん…」
ダメだ…。全然集中出来ない…。
A「どうしたの？さっきから」
佐久間「やっ…。何でもない…」
A「そっか」
ヤバい…。篠音怒らせたかも…。何やってるんだよ、俺…。
A「じゃあ次はこれ。日本語訳を英語に書き換えて＾＾」
怒ってない…？
佐久間「えっと…こうか？」
A「そうそう！正解！＾＾」
笑ってる。怒ってなくて本当に良かった。
A「じゃあ次ね！＾＾」
俺の心配をよそに無邪気に笑う篠音。
愛しい。その笑顔、俺だけに見せてくれよ…。
篠音に伝えたい。勝手に口から言葉が出る。
佐久間「篠音、ちょっと外行こうぜ」
A「うん。ちょっと休憩しよっか＾＾」
…―
A「疲れたね」
佐久間「あぁ…」
A「ずっと勉強してたもんね」
佐久間「そうだな…」
言わなきゃ…。篠音に伝えないと…。
焦りが募る。
佐久間「篠音…」
A「ん？」
佐久間「俺さ…篠音の事…」
言わないとダメだ…。言わないと…。
佐久間「篠音の事…」
A「？」
佐久間「篠音の事…す…すき焼き食べたい…」
A「…え？」
何言ってんだよ、俺！馬鹿かよ…。
大体『篠音の事すき焼き食べたい』って、言語が可哀想な事になってるし…。
こんなの、恋愛漫画のお決まりのパターンじゃねぇか…。
A「私もすき焼き食べたい！」
佐久間「え…」
多分1分は、呆気に取られていた。
A「佐久間君？どうしたの？」
篠音が天然で良かった。
佐久間「何もない＾＾」
まだ良いか。ゆっくりで良い。
またチャンスは来る。その時は必ず告白して見せる。
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作者名：亜夢菜 | 作成日時：2013年9月15日 17時
