. ページ28
誰かが肩を揺さぶっている。はまちゃんは重い瞼をやっと開けた。目の前には懐かしい顔がいて、はまちゃんは優しく微笑んだ。
「だい、き…」
「はまちゃん…！あ、あのっ、その、今、桜にお薬みたいなもん刺しといたから、あ、あれで元気になるんやって！花屋のおじさんが言うてた！だ、だからっ」
慌てている大毅の顔。これは夢ではないかと手を伸ばしたはまちゃんはゆっくりと彼の頬を撫でた。
「ほんま…いつの間にこんな男前になって、」
「いっ、今そんな冗談言うとる場合ちゃうねん！な、何でこんなに枯れてんのっ…、オカンか！？オカンが水もあげへんの！？」
「だいき…、」
「な、何？」
「俺な…、ほんまになが〜くいきてて…何十年、いや…何百年かな…とにかくもう時が来ただけや。薬も、何も効かへん…と、思う。せやから…薬、取って…？もったいないから…」
「…やだっ、絶対嫌や。そんなっ、できるわけねぇだろ…！」
大毅は弱弱しく微笑むはまちゃんを抱きしめた。『だいき』と小さく自分を呼ぶはまちゃんはすぐにも消えそうで怖かった。
「俺っ、はまちゃんのこと、俺の妄想だと思うてたっ…。みんなには見えないから、俺、友だちがおらんくて、妄想で友だち作ってたんやって、高校生になる前まで…はまちゃ、見えたのに、俺っ、俺の妄想なんやと思うて、話もかけんと、無視してっ…、でもほんまに見えんくなった時は寂しくて、悲しくてっ…、」
はまちゃんを抱きしめてる大毅の腕に力がぐぐっと入る。はまちゃんはどうしようもできずただ彼の腕の中で大人しく抱きしめられているだけだった。
「俺、のせいやろ？はまちゃんはこの木の守り神みたいなもんやからっ…、俺、昔、本で読んだことあんねん…！神って、人から忘れられたらなくなってまうんやって…っ、俺が、俺がはまちゃんのこと無視してしもうて、それではまちゃん弱ってもうて、木も枯れてしもうたんやろ…？ごめん、ほんまにごめん…」
そうか。俺、神やったんか。ーと小さく呟く。こんな時まで天然出しやがって、この人ほんま…と苦笑いをした大毅はゆっくりと彼から離れ目を合わせた。ぼんやりと微笑む彼は……後ろの木が透けて見えるぐらい薄くなっていた。
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しずく(プロフ) - さんごさん» コメありがとうございます！そしてリクエスト頂きました！実は、しずく本人がエイトさんに関してあんまり詳しくないんですが濱ちゃんが先輩たちに可愛がれる所はぜひ書きたいのでｗ←頑張ります！(>▽<) (2017年3月8日 20時) (
レス) id: 314b7862b6 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - すいかさん» コメありがとうございます！「さくら、さくら」は私個人的にも結構好きな話です>▽<頑張ります！(>ω<)！ (2017年3月8日 20時) (レス) id: 314b7862b6 (このIDを非表示/違反報告)
さんご - いつも楽しく読まさせていただいています！！ リクお願いします！エイトのメンバーに可愛がられる�陲舛磴鵑�みたいです！細かいシチュエーションなどはおまかせします。これからも更新頑張ってください！ (2017年3月8日 18時) (レス) id: 2b1265342e (このIDを非表示/違反報告)
すいか - 桜の話が大好きで度々読み返しております。更新楽しみです！ (2017年3月8日 14時) (レス) id: bd8e1c38ff (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 紫苑さん» いえいえ、リクエストくださって本当にありがとうございます！ふわふわな濱ちゃん好きなんです(´艸｀*)これからも頑張ります！(>ω<)ゞ (2017年2月25日 23時) (レス) id: 314b7862b6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しずく | 作成日時：2017年2月4日 16時
