. ページ6
(橙)
無理を言いラジオ終わりの夜中に病室へと入らせてもらえることになった。
マネージャーに簡単に流星の状態を聞くと、軽い鬱、精神的なしんどさからくる睡眠・摂食障害……という感じらしい。
起こさないようにと思いゆっくりと扉を開けると、ぽたぽたと大粒の涙を静かに零しながら外を見つめる流星の姿。
『…流星、目ぇ覚めた？』
「……っえ、あきと？」
俺の姿に気づいた瞬間にゴシゴシと目を擦って、無理矢理にっこり微笑む。
…ちゃう、そんなん俺の好きな流星の笑顔じゃない。
「ごめん、こんな夜中やのに来てくれたん？もう大丈夫やから！！今日ヒルナンデスもあったし、仕事いっぱいで疲れてるやろ？早く家帰って寝て？」
いつもゆったりやのにやたら早口で話して、また無理矢理笑って。
『……流星、』
ギュッと抱きしめる。
…色々抱え込んでる気はしててん。
明らかに煙草吸う回数増えてたし、あんまり食べられてへんのかちょっと痩けていってたのも、気になってた。
やけど、忙しくてなかなか2人で会えへんかったのと、みんなの前で言うのは流星が嫌かなと思ってタイミング見計らってたら、……もう遅かった。
『…ごめんなあ、こんななるまで助けてあげられへんくて』
久しぶりに抱きしめた流星はやっぱり痩せてて、胸がぎゅっと苦しくなってくる。
俺が1番大事にせなあかん人やのに。
「…ううん。みんな頑張ってるのに全然頑張れてないからっ、俺が悪いねん…。やのに迷惑ばっかりかけて、ほんまに、……ごめんなさい……………」
腕の中で震えながら謝る弱々しい流星。
どれほど追い詰められてたのか、どんだけ苦しかったのかが痛いほど伝わってくる。
流星がメンバーや俺にさえ、なかなか弱いところ見せられへんことなんて分かってたやんか。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 251人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：流優
| 作成日時：2022年10月12日 20時
