抜けられない(橙×青) ページ3
(青)
「………はあ、」
最近、無性に疲れてる。
仕事が嫌なわけではない。
ただただ何も考えずにゆっくり眠る日が欲しい。
でも目まぐるしく仕事をする中で身も心も頭も休めるなんてほとんどなくて。
ありがたいこと、なんやけど。
ドラマ、アリーナツアー、ドームツアー、フェス、バラエティ、レギュラー番組、雑誌の撮影…………
常に何か考えてることがあって、また新たなことを覚えないといけなくて。
でも、みんな頑張ってるから、俺も頑張らないと。
みんなのために出来ることしたいと思って、過去のライブ映像を見直したり、他のアーティストのライブ映像を見たり…
俺よりも、もっともっと休みがないほど忙しいメンバーなんていっぱいおるのに、……こんなんでしんどいだなんて情けない。
ごくり、と三本目のハイボールのロング缶を飲み切りそうなところでどんどん視界が滲んでいく。
「っぐす、………っえほ、えほえほっ、!!」
涙も咳も誤魔化すように目の前の煙草を手に取り火をつけた。
視界の隅には大量の吸い殻。
………もう、ほんま、情けな、…。
昨日あのままソファで寝落ちしてしまい、翌朝迎えの時間ギリギリで目が覚めた。
顔色は最悪、目も腫れてる。
……何やってんやろ。
深酒せんと早く寝たらもっと身体休めたのに。
………………毎日毎日、俺、何してるんやろ。
……自分で自分のこと疲れさせてるようなもんやん。
でも酒飲まんと寝付けへんねんな…。
体調や顔のコンディションとか自己管理も出来んなんて、何年この世界でやってんねん俺。
………はあ、
ソファーに腰かけて煙草を手に取る。
何もかも一瞬だけどうでもよくなる時間。
今日も煙草は同じ味。
その同じ味に安心して、深く吸い込むほど身体中を巡って行く感じにも安心する。
…ちゃんと呼吸してる、生きてる、今日も生きてる。
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作者名:流優 | 作成日時:2022年10月12日 20時