就寝 ページ8
「言っとくけど俺のじゃ絶対でけーけど良いのかよ」
「うん、明日ちゃんと買いに行くから今日だけ貸して…、お願い!持ってきた服は全部寝間着には使えないんだよ〜。」
「はぁ………。」
わかったよ、と竜君は渋々部屋のクローゼットを開けてそれらしい物がないか探してくれる。
後ろで中を覗くとどれも高そうな、私には手の届かない値段がしそうな洋服がズラッと並んでいる。その中から1枚のTシャツを手に取り私へと手渡される。
「ほら、これでも着とけよ。」
「ありがとう〜!」
私にシャツを手渡した竜君はクローゼットの扉を閉めると部屋の扉のノブに手を掛けこちらを振り返る。
「着替え終わったら呼べよ。扉の前に居るから。」
「うん、わかった!」
それだけ言うと竜君が部屋から出ていきパタンと扉が閉じる。
それを確認していそいそと借りたTシャツと持ってきた短パンに履き替える。ふと着替えてる最中に外で竜君と蘭ちゃんの話し声がしたが、竜君が大声で「兄ちゃん!!!」と叫ぶと蘭ちゃんは何処かへ行ったようだった。
兄弟喧嘩かな…と心配しつつ、脱いだ洋服を軽く畳んで扉をコンコンとノックした。
ガチャリと扉が開き、竜君が顔を覗かせる。
「終わったか?サイズは?」
「あ、うん。おっきいけど問題ないよ、ありがとう」
「着てた服貸せ、ついでに洗っとく。」
竜君は自分の洗い物を持つと私の服も一緒に持って部屋を出て行った。それくらい自分で洗うんだけどな、と思いつつ「ついでだから変わんねーよ」と一蹴された為大人しく甘えることにした。
携帯は蘭ちゃんに壊された為特にすることもなく、ベッドの脇に腰掛けてぐるりと室内を見渡してみる。特に変わった物もなく、勝手に見て回るのも失礼なので時計を眺めて時間を潰していると竜君が部屋へ戻ってくる。
目が合うと「何してんの。」と一言。
「本当に私ベッドで寝て良いのかなって。椅子でもいいしリビングのソファでも大丈夫だよ?」
「別に良いって。ンな気ぃ遣わねーでとっとと寝ろ。」
バカ、と竜君に眉間を人差し指でトン、と押される。
押された眉間を抑えながらそれじゃあ…と恐る恐るベッドに潜り込み、竜君も寝るからと端に寄って布団を肩まで掛ける。竜君は言っていた通りやる事がある様で、デスクに腰掛けて仕事か何かに手を付けている。
その後ろ姿を眺めながら慌ただしかった数時間の疲労で私はすぐに意識を手放した。
「スー…。」
「…ホントに素直に寝る奴があるかよ。ったく………。」
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作者名:結城 | 作成日時:2021年11月9日 6時