突拍子 ページ4
「竜君！それに蘭ちゃんも…！」
「いやー、Aのとこにサツが来たって竜胆から聞いてびっくりした笑」
「ホントだよ、しかも何でこんないきなり…。」
私より先に自宅に到着していたのは私が警察署に行く羽目になった幼馴染の竜君と蘭ちゃんだった。
普段忙しいみたいだけどわざわざ時間を作って様子を見に来てくれたのかな、優しいな…。なんて思っていると竜君がとんでもない事を言い出す。
「よし。A、引っ越すぞ。」
「えっ？」
「あと今の仕事も辞めろ。」
「え？？？いやいや、待ってよ竜君」
「あー、あとは携帯も買い替えて番号諸々一新だな〜」
「蘭ちゃんまで！そんないきなり何を」
2人が突然突拍子の無い事を淡々と言い出すものだから、頭が付いていかず、思わず笑うとバン！と顔の横で大きな音がなる。
チラ、と見ると顔のすぐ横で竜君の手が壁に付いている。そして目の前には竜君の顔。これは世間一般でいう壁ドン？でも竜君の表情は無表情で、無言の圧が凄い。これはトキメキとかラブコメとか、そういう物とはかけ離れた…寧ろ命の危機的状況と即座に理解する。
「あの…竜胆………？」
「お前馬鹿か？」
「え…」
「お前このままだとサツに張られたまま、もしサツがお前を尾行してきて俺達の姿を見られたら俺達もお前もタダじゃ済まねーぞ。」
「で、でも…」
「そーそー、竜胆の言う通りだろ。お前がサツに目ぇ付けられた以上サツから身を隠さねーとな？」
竜君の後ろから蘭ちゃんがひょこっと顔を出し、いつも通りニコニコと笑いながら気付けば私の携帯を手に持っている。
そして携帯を床に落としたかと思えばそのまま足で勢い良く携帯を踏み付けられた。
思わずうわあ！！！？と叫び、慌てて竜君を退けてスマホを拾い上げるが時すでに遅し、画面は粉々、本体もひしゃげていて完全に壊れてしまった。
「な、何て事するの…これ先月買い替えたばっかりだったのに〜！！！」
「はは、ごめんって〜笑ちゃんと新しい奴俺が買ってやるからそんなに怒んなって〜」
「そういう問題じゃないよ…！汗」
「…つかさぁ、さっき俺達が言ったの全部本気だぜ。」
竜君は変わらず無表情で、ズボンのポケットに手を入れたまま距離を詰めてくる。
その威圧感に後退すると背後に立っている蘭ちゃんにドン、とぶつかる。見上げればいつの間にか蘭ちゃんの顔からも笑顔は消えていた。ﾋｭｯと喉が鳴る。
「俺達を選ぶか、捨てるか決めろよ。」
「まぁ選択肢なんかねーけどな？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 384人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：結城 | 作成日時：2021年11月9日 6時
