出勤初日 ページ17
「さ、じゃあアジト前までは送ってやるから乗れよ。」
「う、うん。」
「A緊張し過ぎだろ、昨日首領とは顔合わせも済んでんだし大丈夫だって。」
出勤初日の朝、竜君が送迎してくれる事になり助手席へと乗り込むと竜君がシートベルトを締めながら笑い掛けてくる。
それもそうだ、私の表情筋は既に昨日と同じくらいガチガチに固まっている。
そんな私を尻目に「行くぞー。」と竜君がハンドルを回して梵天のアジトへと出発する。
「じゃ、帰り迎えに来るからな。終わったら連絡入れろよ、一応首領にはお前の勤務時間の目安は伝えてるから首領も声掛けてくれるとは思う。何かあったらすぐ俺か兄貴に電話な、良いか?」
子供の様に入口前で竜君に注意事項諸々を教えられ、別れ際には指折りで数えながら注意事項を復唱させられた。
車に乗り込んだ竜君がヒラヒラと手を振ってくれ、付いていてほしい気持ちを抑え込みながら手を振り返した。
「…来たか。」
「あっ、おはよう御座います…!えと、AAです今日から宜しくお願いします…!」
アジトの中への入り、昨日佐野さんとお話した部屋へ入ると佐野さんと付き人のピンク髪の人が何か話をしている最中だった。
間が悪かった、と思いつつも挨拶をするとピンク髪の彼が明らかに機嫌が悪そうに舌打ちをした。一方佐野さんは特に表情は無く、何を考えているかわからない。
「えっと、とりあえずお話の邪魔ですよね…ごめんなさい…!部屋の外に出るので、お話終わってから…」
「いや、別に良い。…お前、何すんだっけ。」
「あ、掃除とか…洗濯とか、家事なら何でもやります…!」
佐野さんがポリポリとうなじを掻きながら私の方へペタペタと歩いてくると、「んー…」と左上に視線を泳がせながら考え事をし始める。
何をさせるか考えているのかな…。と思いじっと佐野さんの言葉を待っているとふと佐野さんの背後の彼と目が合った。
あ、と思った時には彼の眉間には物凄い皺が押し寄せ、一言乱雑に投げ掛けられる。
「あ?何見てんだ女。」
「い、いえ…何でもないです…ごめんなさい…。」
そう言って慌てて彼から視線をそらすと彼のフン、と小さな鼻息が耳に入った。
凄い嫌われてるなぁ…汗。まぁ、昨日今日と突然の新入りな訳だし当然だけど。
「じゃあA、とりあえず朝飯作れ。」
「あ、朝ご飯ですか?」
「何も食ってねぇから腹減った。」
「わ、わかりました」
「三途、教えてやれ」
「はい。」
「えっ」
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作者名:結城 | 作成日時:2021年11月9日 6時