首領 ページ12
「……A、A…です。」
「…誰?」
突如背後に現れた白髪の深淵の様な瞳をした男性の雰囲気に圧され、辿々しくも自己紹介をするが返ってきたのはさっきと同じ言葉だった。
誰、と問われても私はAAのそれ以上でもそれ以下でもない。
というか、この人は誰…。流石に此処に居るなら梵天の人だろうけど、とどうすれば良いのかわからず肩を掴まれて振り返った姿勢で硬直していると蘭ちゃんが一言。
「おはよう御座います、首領。」
「えッッッ!??」
「ああ。朝早くから御苦労だな。」
「その女が例の女らしいです、でも首領が話す必要も無く一目瞭然ですよ。ウチで役に立つ様な女じゃない。」
「だからそれは首領が決める事だろーが、なんべん言やぁ分かんだよこのヤク中。」
「あ?何で俺が梵天のナンバー2やってるかいい機会だし教えてやろうか?」
「お前ら、首領の前で喧嘩すんな。首領、三途の言う通り。その女が俺が話した奴です。」
「ふーん…。」
4人がガヤガヤしているのを横目に私は掴まれたままの肩と反対側の壁を交互に見ながら脳内を整理していた。
今私の目の前にいるのが梵天のボス?それでさっきのピンクの人がナンバー2で?とりあえず私はどうすれば?頭の中がグチャグチャだ。
下手な事をして目の前のボスの機嫌を損ねたら私は多分死ぬだろう、でもだからってこの状況は心臓に悪いどころの騒ぎじゃない…!せめて、肩の手を…!
「A。」
「はいっ!!!汗」
ふと我に返ると目の前には竜君の顔。
あれ?と思った私に竜君が告げる。
「首領、面接してくれるって。」
「え」
「大丈夫、俺と兄ちゃんも脇に居る。お前はあんまテンパらねー様にだけ気を付けて…」
「りりりり竜君、隣に居て…お願いお願いお願い…!!!」
「おお、既にテンパってんなお前…」
だってあの人怖いもん!!!と伝えると竜君はまぁな。と先に行っている首領の背中にチラと視線をやる。
竜君が肯定するなら余計に怖い。竜君が怖いなんて言う事は滅多にないのに、その竜君が怖いなんて梵天の首領はどんな人なんだろう。
竜君の後を着いていき、ある一室に通される。
竜君が開けてくれた扉をくぐり、中に入ると真正面のソファに先程の首領が腰掛けてこちらを見据えていた。
ソファの後ろには先程のピンクの人が控えている。
私は向かい側のソファに促され、着席すると私の後ろに竜君と蘭ちゃんが同様に控える形をとった。
「………で?お前、此処に何しに来たの?」
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作者名:結城 | 作成日時:2021年11月9日 6時