9歳 ページ10
「あれ、田噛。田噛がちびっこに世話を焼くなんて、明日は雨かな？」
ふと、木舌にいがこちらに気がついて田噛にいを茶化した。
「あ？ただこいつがスプーンの使い方すら知らなかったから教えてやっただけだ。……ってか早く食えよA、俺も腹減ってんだ。」
ああ、そうだ。
まだ田噛にいだってご飯を食べ終わってないんだ、早く食べなければ。
そう思って急いでスプーンを咥えていく。
しばらくして疲れてきたのか、唐突に田噛にいが話を谷裂にいに振った。
「……おい谷裂、食い終わったんならこいつに飯食わせんの交代しろ」
「……な、なにを言う。ちびに自分で食べせればいいではないか。」
「……おい、お前本当にひとりで食えるか？」
隣から威圧感のある目線を向けられ、否応なしに頷くしかできない。
「……銀キラさん、持ってみろ」
そういって銀キラさん、もといスプーンを僕に握らせる。
そうして緊張感溢れる手つきでご飯を掬おうとするも、結果は先ほどと全く変わらなかった。
「……嘘つけ、全然駄目じゃねぇか。」
嘘つきは泥棒のはじまり、といって田噛にいは僕のおでこを人差し指で軽く突いた。
「……だっておにいちゃんこわいんだもん」
「……あー、謝るから不貞腐れんなって、面倒くさい。……ほら、口開けろ。」
しばらくして、ようやく田噛にいがご飯を食べれるようになった。
デザートとして盆の隅に添えてあった蜜柑を剥いてもらって、流石にこれくらいは自分で食え、と言われ僕は田噛にいの隣で蜜柑を食べている。
ふと、ちらりと田噛にいの方をみた。
田噛にいは丁寧な所作でご飯を食べていて、ぼんやりと「これくらい綺麗に食べれるようになれればな」と考えていた。
「……ご馳走様でした」
ふと、田噛にいが完食をしたのか、手を合わせて立ち上がった。
さりげなく待っていた僕は、慌てて後を追っていった。
「……ご馳走様です、キリカさん」
「あら、いいのよ全然！完食してくれて嬉しいわ〜！」
上からそんな声が聞こえるが、僕には全く届かない。
背 丈 的 な 意 味 で 。
暫く奮闘していると、ふとプレートが手から離れていった。
「……ほんと、お前ちっさいな。」
上には何故か勝ち誇ったような顔をした田噛にいがいて、「あ、お盆とられた」と認識することができた。
「あー、…あー！」
お盆、自分で返したかったのに…。
それは声にならずに消えていった。
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ファーストMe - とても面白かったです！！続き待ってます！(о´∀`о) (2018年9月27日 22時) (
レス) id: d48a818a0f (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ - めっっっちゃ面白いです！！はやく谷裂との絡みが見てみたいです！更新待ってます！頑張ってください！ (2018年7月7日 0時) (レス) id: 80941d4d5d (このIDを非表示/違反報告)
真顔の天使 - 面白かったです。獄卒達(特に斬島)の反応が可愛いかったです!!早く続きよろしくお願いします。 (2018年3月4日 14時) (レス) id: 34e63f959e (このIDを非表示/違反報告)
クスクス - 面白かったです。 (2018年2月20日 21時) (レス) id: 364e94a966 (このIDを非表示/違反報告)
ラル(プロフ) - すっごい面白いです！続きが気になります！ちびっこを見た獄卒達の反応が可愛くてもう、最高です！ (2016年8月8日 5時) (レス) id: d7cba9107c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竹ノ狐。 | 作成日時：2016年1月30日 21時
