3歳 ページ4
「……さて。まず先に、名前を聞いてもいいかな？」
さきほどいた部屋の隣の、これまた広い部屋に入って扉を閉めたところで、水色の人は僕にそう尋ねてきた。
「んーっとね！ぼく、A！おにーさんは？」
「ふふっ、俺は佐疫。好きなように呼んでくれて構わないよ。」
彼は子供が好きなのか、にこにこと微笑んで制服を何着か椅子に置いた。
ふと、部屋を見回すと、デスクと思わしき大きい机がいくつか向かい合わせになって置いてあった。
「……佐疫にい、あの机なあに？」
ぼくが机に指をさしながら問うと、ふっと顔を上げた佐疫にいが優しく答えてくれた。
「ああ、あれは俺たちの仕事机だよ。Aもしばらくしたら貰えるよ。……さ、今着てる服、1人で脱げる？」
彼はそう言ってこちらを向かせて、そう聞いてきた。
今着ている服は、ジャージのような部屋着だった。
チャックさえ降ろせればなんとかなるだろう。
「ぬげるよ！……ほら！」
「はは、すごいね！……じゃ、これにお手手通して、」
えらいえらい、と頭を撫でられて少しだけ嬉しくなる。
用意されていた服に袖を通すと、佐疫にいが前を締めてくれた。
ボタンで締めるこの服は、今のぼく1人じゃ大変そうだ。
「はい！ズボンは1人で履けるかな？ベルトは俺がやるよ」
「ズボンはけるよ！……、ほら！」
先ほどまで着ていたズボンを脱いで、さっさと新しい服のズボンを履く。
少しだけ重かったので、ぴょんぴょんと跳ねながら腰の位置までもっていく。
すると佐疫にいはまたえらいえらい、と言ってくれて、慣れた手つきでベルトをつけてくれた。
「ベルト、きつくない？」
「だいじょーぶ！……ねえねえ佐疫にい、おにーちゃんのつけてるひらひら、なあに？」
僕が佐疫にいのマントのようなものをかるく引っ張ると、佐疫にいは優しく答えてくれた。
「ああ、これは外套だよ。つけてみる？」
うん！
威勢良く、目を輝かせてそう言えば、可憐に微笑み外套を被せてくれた。
「きゃはは！佐疫にいとおそろい！」
そのことが純粋に嬉しくて、外套をひらひらさせながら彼の周りを走り回った。
「ふふ、俺も嬉しいよ！……さあ、そろそろ肋角さんのところに戻ろうか！」
そう言って佐疫にいは僕の衣類を畳んで抱えて立ち上がり、僕の手を再び握った。
「ぼく、ぼく、これからごくそつ！」
閑静な部屋の中に、僕の嬉々とした独り言が木霊していた。
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ファーストMe - とても面白かったです！！続き待ってます！(о´∀`о) (2018年9月27日 22時) (
レス) id: d48a818a0f (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ - めっっっちゃ面白いです！！はやく谷裂との絡みが見てみたいです！更新待ってます！頑張ってください！ (2018年7月7日 0時) (レス) id: 80941d4d5d (このIDを非表示/違反報告)
真顔の天使 - 面白かったです。獄卒達(特に斬島)の反応が可愛いかったです!!早く続きよろしくお願いします。 (2018年3月4日 14時) (レス) id: 34e63f959e (このIDを非表示/違反報告)
クスクス - 面白かったです。 (2018年2月20日 21時) (レス) id: 364e94a966 (このIDを非表示/違反報告)
ラル(プロフ) - すっごい面白いです！続きが気になります！ちびっこを見た獄卒達の反応が可愛くてもう、最高です！ (2016年8月8日 5時) (レス) id: d7cba9107c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：竹ノ狐。 | 作成日時：2016年1月30日 21時
