4.「六つ子の魂、死ぬまで」 ページ5
俺たちは6人で1人。
そう言い始めたのは俺だった。
長男だし、なにより六つ子だから。
一つの卵が6つに裂けてそれぞれ一つの人間になってるなんて、素敵じゃないか。
そうやって、自分たちが感じる運命に酔いすぎたからだったのかもしれない。
年下の、可愛らしい妹が憎たらしくて仕方がなかった。
最初は「いつもAばっかり」だった。
それが「Aはいいよなぁ」となり、「あいつがいなかったら俺たちがああなるんだなぁ」ってなって、「あいつ邪魔だな」となった。
だから、嫌がらせをした。
あいつのポジションをとるために。
俺たちが可愛がられるために。
結局、俺たちは欲に負けてあいつのポジションを奪ってしまった。
いまではすごく申し訳ないと思っている。
だから、仲直りがしたかったんだ。
でも、遅かった。
今まで嫌がらせしかしてこなかったから、どうやってAと正しく接すればいいのか分からなかったんだ。
だから、ついいつもどおりに接してしまって、ああなってしまった。
A、怖い目してたな。
謝りたい、七つ子かのように、Aを歓迎したい。
そうして、俺たちが奪ってしまった母親からの愛情を、代わりになんてならないと思うけど俺たちが注いでやりたい。
そう思ったけど、どうやらそれは不可能にちかいようだ。
「……っふえっ、く…、っぐす、なんでA、と、…っ仲良くできない、のぼくたち……」
まだ弱い十四松が声をあげずに泣く。
本当はみんなそう思ってるんだ。俺にはわかる。
「……、A、悲しそうにしてたなぁ。……なんであんなこと言ったんだろ。」
腹の黒いトド松も、今回ばかりは本心じゃなかったのか、申し訳なさそうにいった。
「……俺は別に。…本当のこと言っただけだし。」
そう吐き捨てつつも、手が小刻みに震えている一松。
泣きたい時は泣いていいんだぞ。
「………。もう、無理そうだね。」
「ほんとにごめんな、A…。今のおれたちには、これが限界なんだ……。」
暗い雰囲気が流れる。
この流れを、変えないと。
「……っよし、みんな!これから少しずつ!Aのこころをほぐしていこうぜ!!」
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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時