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37.「めそめそで」 ページ38

「いただきます」


「いただきまーす…」


箸を取り、広い卓袱台を二人で囲む。


ひどくがらんどうな空間に、箸を進める音だけが木霊する。


「……そういえばカラ松、」


「……なぁに、A。」



普段なら絶対に聞くことのない、間抜けた声。

カラ松はとてつもなく眠いらしい。


もともと早くに寝て遅くに起きる生活をしていた人間だから、余計に眠いのだろう。

お吸い物の器に口をつけたまま意識は壁に飾ってある額縁の付近にまで飛んでしまっている。


あれは絶対に啜ってなんかないな。



「私のバイト先にね、演劇部の高校生がいるの。……でね、次の大会で主役になれたんだって。……その子にカラ松のこと言ったらさ、「是非演技のコツを教えて下さい!」だって。」



「……ふぅん、そうなんだあ。……俺のベタベタな演技でいいならいくらでも教えられるけど……。」


話を聞いて少し覚醒したらしい。


「よしきた。そしたら次のバイトの時にでもその子と会ってくれないかな。連絡入れとくから」


「うん。……待ってろよ、カラ松girl…。」



「いやクソ真顔のめちゃくそな棒読みで言われても……。」






「ご馳走様でした。」


「……ごちそうさま、美味しかったぜ」



あれだけ眠そうにしていたカラ松だったが、いつものカッコつけができるくらいには覚醒したようだ。


あえてそれには触れずに食器を片付けていく。


食器を洗ってるだけの時間は___。少し厳しそうだ。


「カラ松、さっさと支度して家出よう。遅れたら大変だし。」



そう言ってカラ松の方を見れば、とっくにいつもの革ジャンを羽織っているところだった。

いやそれは流石に戴けないだろう……。


「病院行くんだし革ジャンはやめたほうがいいと思うよカラ松……。青いパーカーがあるじゃん?そっち着よう、ね?」



「……なるほど…。そういうなら着替える」



時計の針は予約の時間に少しずつ近づいていった。

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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時

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