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31.「ばらばら」 ページ32

結局、おそ松たちはカラ松の身代金を払わなかったらしい。


道具箱を返したいところではあるのだが、いまのままでは厳しいのだろう。



「……で、ニートたちはどうするつもりなのかしら」

「そんなこと私に聞かれても……。……明日になればきっとなにかしらやってくれるでしょ。」


おそ松たちのことだから、きっと同じなのかもしれないけれど。



そうして真夜中に、事は起きた。


「チビ太ァ!降ろしてぇ〜!!」



必死そうに助けを乞う、そんな叫び声。


めらめらと燃えたぎる炎の赤い光。



そして鼻を劈くような焦げる匂い。



咄嗟に障子窓を開け、音のする方を見遣った。


「……カラ松…!」



情けない声で叫ぶあいつには、いつものキザさもかっこつけた姿なんてまるでなかった。



「バカかチビ!ハゲ!!降ろせよチビ!!」



チビ太の声は遠くて聞き取れないのに、カラ松の声だけはしっかりと耳に入ってくる。




ふと、すぐ近くから障子窓の開く音がした。


おそ松たちだ。
きっと外まで行って助けに行くのだろう。



「…?!」


しかし、窓から飛んだものは全て一寸の狂いもなくカラ松の頭へと着地していった。


そうして石臼を最後に猛攻は止まり、カラ松は血を流したまま床へと放り出された。


「あっ…!」


隣の部屋からの声もしなくなり、仄かな静寂だけが辺りを包んだ。



その静寂と同調するようにしてわたしも静かに布団へ入る。




目を閉じれば、血塗れのカラ松が涙を浮かべてこちらを見ている姿が過る。

このまま、放っておいてはいけないのかもしれない。





「……う、A…?」



「しゃべっちゃだめ。」



気がつけば階段を駆け下りて、補修し終えた玄関の引き戸を開けていた。

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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時

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