3.「壊れたガラクタこういった」 ページ4
「……あーあ、要らない子が来た。」
ふと、おそ松が声を発した。
長男らしさといっても、私の前ではなんの意味も為さないようだ。
「本当だ。全然気がつかなかった。…あっ!ごめーんっ、手が滑ったぁ!」
トド松はそれに乗じてコップになみなみと注がれたジュースを私にぶちまけた。
宿題も、制服も、私自身も、汚れた。
まるで、汚らしい要らない子。
「ちょ、ちょっとトド松!それは流石にないだろ!?それにおそ松兄さんも!余計な茶々は入れなくていいから!」
「だってこいつ要らない子だよ〜?……こいつに母さんたちがかまけてたら、俺たちどーなんの?全員根暗な根性なしになっちゃうじゃん、誰かさんみたいに!」
お母さんに愛されたいから。
それが理由であることは知っていた。
だけれど、私のことそんな風に思ってただなんて。
根暗な根性なしって、いくらなんでも酷すぎない??
「っ…、いつまでそんなこと言ってるつもりだよ、Aだって俺たちと同じ人間なんだし、なにより兄弟だろ?!そんなに強くあたる理由ってある?!」
チョロ松が私の思ってることを言ってくれる。ありがたいし楽だ。
だがしかし、チョロ松も随分と変わった。
昔は率先して私に嫌がらせしてきたくせに、今更庇うなんて。逆に腹がたつ。
「……兄弟?チョロ松兄さん、疲れてんじゃないの?ちょっと寝ときなよ。…あんなグズが兄弟だなんて、兄さんどうかしてるよ。」
一松も変わった。
昔は真面目で私を少しだけ気にかけてきていた。
なのに、今はひどいや。
「……、一松…」
「てかさ、なにその紙。勉強頑張ってますって主張して、かあさんに褒められたいわけ?」
「一松」
「ほんと、どこまでもがめついやつ。」
「一松っ!!」
チョロ松の声なんて聞こえなかった。
それは一松も一緒だろう。
「……そんな風に私のこと思ってたんだ。…温くない?もっと憎たらしいんじゃないの?要らないって何度もなんども繰り返し吐き捨てれるくらいにさ。」
カラ松は何も言わない。
十四松は慌てたような笑い顔をして、こちらを見つめている。
「……あのさ、一松も人のこと言えないよ?…もうさ、そんなに嫌いなら関んなきゃいいじゃん。私に構わないでよ。…はーいはい、どうせ私はいらない子です、どうもどうも。貴方達とは顔も合わせたくないです、どうぞさようなら。」
誰の声も聞かず、風呂場へ急いだ。
六つ子のため息もきかないで。
4.「六つ子の魂、死ぬまで」→←2.「ジュースの溢れたコップに一杯」
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kuu - これいちいち歌の歌詞になってますね、 (2022年1月1日 12時) (レス) @page38 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
kuu - 面白いです、これからシリアスだったり恋愛がある、が楽しみです (2022年1月1日 10時) (レス) @page1 id: f964c54957 (このIDを非表示/違反報告)
あみ - 最高すぎます (2020年9月24日 2時) (レス) id: e43e7b87c6 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なるべく早く更新してくださいっ……!……お願いです………………本当に楽しみすぎるのですよっ!! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
偶数LOVE!(心々) - なんでこんなに文才があるのですか??これは絶対ず〜っと!過去最高1位ですねっ!!(納得です♪)どんな小説の中でも1番好きですっ!(本当に) 星なんかいも押したいけど、前も押したからムリだ……… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 01d7da7a06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:竹ノ狐。 | 作成日時:2015年11月26日 1時