【文スト】谷崎くんと甲田ちゃん

もうそろそろ、帰ろうか ページ32

あの後、泣き腫らすまで泣いて、笑いながらも好きだと言う三文字の言葉は言えずに僕は帰って来た。

ナオミは勘が良いからかなり困ってしまったけど、バレない訳もなくそのまま怒られたけど、ナオミはナオミでスッキリしたのか幸せそうに笑っていた

「お兄様が元気になって下さって良かった、Aが居ないと本当にお兄様に元気が無くて心配でしたもの」

「そうかな？いや、そうだね。本当に彼女も元気になってくれて良かった」

そう言いながらも、カップケーキを作ってメッセージカードも添えてラッピングをしていく。


明日辺りまではお休みを貰っているから、またお見舞いに行こうと

そう思っていた僕は多分大馬鹿野郎だったんだと後で気が付いた。

その日の夜中にポートマフィアが襲撃された

目的は勿論、彼女の異能力【断章のグリム】を欲しがった大規模な組織…いや、テロリストたちの親玉の組織が攻めて来たらしく、彼女はみんなを守る為ならと自ら其方の元へと行ったらしい。

それもそうかも知れない。

彼女の【ヨモツヘグリ】の不老不死の血と呼ばれる傷を治す形態に【人魚姫】は聞いた事しか無いけど、泡に触れた者を溶かしてしまうと言うかなりの形態を持っているのだから、欲しがるのは仕方がないのかも知れない。

だけど、僕は…それを聞いて、ショックで何日か休んだ後、探偵社に復帰した。

彼女を救出する策も練ったりしたものの、相手は外国の組織な為、それも叶わなくて…結局、組合との戦いが終わっても何も出来ずに…

___時は流れて、四年後になる。

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