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この場にいる者達の中で、唯一エレンだけが状況を掴めてなかった。
しかし混乱するのも無理はない…
目が覚めれば兵士達に武器を向けられており、
突然『人間か、巨人か』という質問を投げかけられ、
誰も自分に向かって『お前は巨人じゃない』と声をかけてくれないのだから。
家族であるミカサや、親友であるアルミンまでも…
「もう一度問う！！！貴様の正体はなんだぁ！！！」
答えを急かすように叫ぶ隊長の声に、エレンは反射的に顔を上げた。
視界に映るのは自分を取り囲む兵士達…
そして困惑の色を浮かべるアルミンとミカサの顔。
その二人の顔を見た時、エレンは気付いた。
そして心の中で、答えに迷っていた自分を嘲笑した。
自分は何を迷っていたのだ、と…
───そうだ…俺は昔から……お前等と同じ……
「…人間です！！！」
エレンははっきりとそう言った。
エレンの発言に、辺りはしん…と静まりかえる。
そして…
隊長は砲撃の合図をすべく、ゆっくりとその右腕を上げた。
「アルミン！！エレンとA兄さんを連れて上に逃げる！！」
「待っ…駄目だミカサ！！エレンはともかく、重傷のAさんを不用意に動かすのは危険だ！！」
瞬時に反応したミカサが手にしていたブレードを捨て、三人のもとへと駆け寄った。
しかしアルミンの言葉にミカサは思わずその足を止めてしまう。
その時だった。
『エレン…この鍵を、ずっと肌身離さず持っているんだ』
───何…！？
『そして見る度に思い出せ。お前が地下室に行かなくてはならないことを』
頭痛と共に脳裏に蘇る声……
『ウォール・マリアを奪還して必ず地下室に辿り着くんだ。この力は、その時役に立つはずだ』
───なんだよ、これっ…！！
『エレン！いつか地下室に行けば真実が分かる！辛く厳しい道のりだが、必ず辿り着くんだ！』
思い出すのは、涙を流す父の顔……
『ミカサを、アルミンを、兄さんを…皆を救いたいなら…』
───そうだ…俺は…！！
『お前はこの力を支配しなくてはならない！！！』
そして、遂に四人に向けて榴弾が発射されたその時…
エレンはミカサ、アルミン、Aを庇うように榴弾の前に立ち、
自分の指を思いっ切り噛んだのだった。
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な - やっぱりこの作品神だな。うん。 (2021年8月25日 0時) (
レス) id: 3d9458003a (このIDを非表示/違反報告)
モノクロ - めっちゃ面白いですっ！！サシャが好きなんで出番あって嬉しいです！！(^-^)/ (2018年11月15日 20時) (レス) id: 91ef51d80b (このIDを非表示/違反報告)
真龍(プロフ) - 地下の時の話で、イザベルやファーランなどの仲間は出さないんですか？ (2018年7月30日 18時) (レス) id: cad0db13a6 (このIDを非表示/違反報告)
青い鳥(プロフ) - 創世の魔法使いさん» 読者様からの『面白かった！』という一言が、私にとって何よりの原動力になります。読んで頂きありがとうございました！ (2014年12月9日 22時) (レス) id: abf9d06ce8 (このIDを非表示/違反報告)
創世の魔法使い - とても面白い！好き！それに、エレンのお兄さんが凄くイケメン！ (2014年12月9日 21時) (レス) id: fd12ebc0d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青い鳥 | 作成日時：2014年10月31日 20時
