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(凄い…)



数日前にはあんな酷い怪我を負っていたハズの兄が、
自分の隣で余裕の表情を浮かべ、言葉巧みに憲兵団をねじ伏せていく。


小さい頃からずっと憧れていた兄の姿が、そこにはあった。


強くて、聡明で、どんな時でも自信に満ち溢れていた、自慢の兄…


『巨人側についた』という言葉を聞いた時は頭が真っ白になったが、
この時エレンははっきりと気付いた。


何年経とうと、たとえ巨人側についていようと、

ずっと追いかけていた兄の…Aの根本にあるモノは、何一つ変わってないという事に。



(いつも俺は、兄さんに助けられてばっかりだった…そして今も…)



エレンは俯きながら、悔しそうに唇を噛む。



(…けど、これは俺の審議だ…当人の俺が、何も言わなくてどうする…!)



兄がここまで言ってくれたのだ…自分だって…と、エレンは心の中で自分を奮い立たせる。

そして。



「お…俺からも、言わせてください…」

「ん?」



隣で小さく言葉を発したエレンに、Aが反応した。

見ると、エレンは睨みつけるような瞳を憲兵団の方へと向けている。


その時…Aの額に冷や汗が浮かんだ。



「え…エレン?」

「大体貴方がたは…巨人を見たこともないくせに、何がそんなに怖いんですか?」

「ちょ、お前はやめとけって…」

(そうだ、言ってやる…思ってること全部…!!)



今のエレンには最早周りの声など聞こえておらず、
エレンは勢いに任せて口を動かした。



「力を持ってる人が戦わなくてどうするんですか…!?
生きる為に戦うのが怖いって言うなら、力を貸してくださいよ!!この…腰抜け共め!!」

(あ〜…馬鹿…)



エレンの隣で、Aが小さく溜め息をつく。



「いいから黙って、全部俺に投資しろぉ!!!!!」



それが、エレンの放った最後の言葉だった。

Aの時とは全く違う意味での沈黙が、室内を支配する。



(…はっ、しまった!!流石にはっきり言い過ぎた!!)



ようやくエレンが我に返った時には、

憲兵団の兵士がエレンに向けて銃を構えていた。



「お、おい、やめ…!!!」



Aが咄嗟に声を上げたその時…



何時の間にかエレンの傍に来ていたリヴァイが、エレンの顔面を激しく蹴りつけた。



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- やっぱりこの作品神だな。うん。 (2021年8月25日 0時) (レス) id: 3d9458003a (このIDを非表示/違反報告)
モノクロ - めっちゃ面白いですっ!!サシャが好きなんで出番あって嬉しいです!!(^-^)/ (2018年11月15日 20時) (レス) id: 91ef51d80b (このIDを非表示/違反報告)
真龍(プロフ) - 地下の時の話で、イザベルやファーランなどの仲間は出さないんですか? (2018年7月30日 18時) (レス) id: cad0db13a6 (このIDを非表示/違反報告)
青い鳥(プロフ) - 創世の魔法使いさん» 読者様からの『面白かった!』という一言が、私にとって何よりの原動力になります。読んで頂きありがとうございました! (2014年12月9日 22時) (レス) id: abf9d06ce8 (このIDを非表示/違反報告)
創世の魔法使い - とても面白い!好き!それに、エレンのお兄さんが凄くイケメン! (2014年12月9日 21時) (レス) id: fd12ebc0d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青い鳥 | 作成日時:2014年10月31日 20時

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