□79.幻 ページ41
***
罪悪感、後悔、嫉妬、恐怖
それら全てに押し潰されそうになって
もうメンタルがボロボロ。
これ以上気持ちが沈んでいくのが耐えられなくて、
考えるのを放棄してみることに。
.
ベットの上で布団を頭まで被って、全てをシャットアウト。
何も聞こえない、何も見えない、何も考えない…、
そう念じてみるけど
……これはかえって逆効果かも…、
.
.
.
“A”
.
…ほら。
今だって、いるはずもない直輝の声が聞こえてきて、
ついに幻聴まで聞こえるようになったのか…、
と自分で自分に呆れていたのに、
布団の中で真っ暗だった視界がいきなり明るくなった。
.
｢……え……｣
直輝｢布団潜ったら息苦しいよ？｣
｢…な………なんで、｣
.
幻覚でも幻聴でも…、ない…？
なんで、ここにいるの。
さっき、やっぱり帰れないかもって言ってたのに。
.
直輝｢…Aが早く帰ってきてって言ったんじゃん。｣
｢…え…〜…っ…、｣
直輝｢もう…、すぐ泣く…笑｣
.
直輝が目の前にいる現実がまだ理解できていないのに、
涙が先行して勝手にポロポロと溢れ出す。
.
直輝｢電話で様子が変だったから心配した。
なんかあった…？｣
｢……、｣
指先で頬をするりと撫でられながら、
優しい声でどうしたのかと聞かれる。
でも今日あったことを彼に話す気にはなれない。
彼に、嫉妬していることを知られたくないから。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年2月14日 23時
