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□71.毒の蜜 ページ33
***
酷いやつ…、じゃないといえばそれは嘘になる。
レンの恋心を利用して、自分の復讐のために操って、
気持ちに応えることもしないけど、
その気持ちを拒絶する訳でもなく、
自分のために動いてくれる絶妙なラインで、
甘い蜜を吸わせて曖昧な関係を続ける。
.
自分も彼からそういう扱いをうけている
自覚があるから、尚更彼女に同情してしまう。
.
…でも、今更離れられるわけないでしょう？
それほどまでに私は既にあなたに毒されていて、
あなたがいなければ生きていけないの。
私にくれる優しい言葉が
全部利用するための手段でしかなくても、
彼が私のことなんてなんとも思ってなくても、
私の居場所はあなたがいるここしかないの。
.
.
｢…酷いやつ…でも…、一緒にいる…。｣
直輝｢…そっか。｣
｢…ん…。｣
.
自分から聞いてきたくせに、
私が答えたら“そっか” って、それだけ。
でもその代わりに、
ぎゅ、と前に回していた手に直輝の大きな手が重ねられる。
.
.
直輝｢A、｣
｢…んー？｣
直輝｢…なんか美味しいもの食べに行こっか。｣
｢外に？｣
直輝｢そう、たまには。｣
｢…うん、行く！｣
.
クルっと体を回されて正面で向き合うと、
優しく笑って、また頭を撫でてくれた。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年2月14日 23時
