好き以外の優しい言葉を全部Ⅱ【シロクロ】 (ページ3)

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□43.忘れられるわけないでしょうページ3

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それからというもの、
ミスパンダと飼育員さんはネットを中心に活動し、
世間をおおいに賑わせていた。

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“世の中のグレーゾーンに白黒つけるヒーロー”

いかにも直輝がやりそうなことだなと思った。

.

そして、前々から宣言されていた通り、
ミスパンダの任務で忙しい直輝は
家にいる時間はほとんどなくなってしまった。

たとえ家にいたとしても、
いつも難しそうな顔でデスクに向かっていて、
ゆっくり話したりする時間はない。

…多分、私といるよりミスパンダといる時間の方が長いと思う。

.

相変わらずキスのことには触れてこない。

こちらから聞こうにも、

あいにくそんなタイミングも、
勇気も持ち合わせてはなくて。

.

直輝の考えていることが全く分からない。

あれはただ私の反応を面白がっていただけなのだろうか。

彼の優しさに何か特別な意味があるかもしれない
…なんて、今更そんな期待はしていない。

でも、あれを全く気にしないで
生きていけるほど図太くもない。

.

触れたのだって一瞬。

きっと一秒にも満たないような、
そんな刹那的な出来事。

それなのに、鮮明に覚えているあの感触が、熱が、
頭から片時も離れてくれない。

唇を離した瞬間の直輝の顔が妙に色っぽくて、
思い出す度にｷｭｩ…っと胸が痛くなる。

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