□52.イヤ、ジャナイ ページ12
***
今になってアルコールがちゃんと頭に回ってきたのかな。
頭がボー…っとして、上手く働かない。
さっきまでの緊張状態が解けて、
安心感と一緒に心地よい眠気が押し寄せてくる。
.
直輝｢眠たいんでしょ。｣
｢……ん…、｣
直輝｢…寝な？｣
.
クスッと笑ってそう言う直輝。
でも…、
なんかもったいなくて寝たくない。
だってきっと明日の朝起きたらもう直輝は
まるで夢か幻だったかのように
私の側からいなくなっていて、
また昨日までのような忙しい日々に戻る。
今ここで私を見つめてくれている直輝から
片時も目を離したくないと思ってしまう。
.
直輝｢…Aさん、｣
｢…はい？｣
.
直輝｢…ギュッてしてもいいですか。｣
｢…えっ…//｣
.
…ああ、ずるい。
今までそんなこと、1度も聞いてきたことないじゃん。
私の許可とか取ってなかったじゃん。
＿＿＿＿＿＿キスだって勝手にしたじゃん…。
なのになんでここに来て選択権を私に委ねるの。
.
｢…………聞かないでよ｣
直輝｢…Aが嫌だったらしないよ。｣
.
.
“……………嫌じゃない…”
そう呟いた瞬間、ふわっと彼の腕に包まれた。
久しぶりの感覚と、大好きな彼の匂い。
心臓が壊れそうな程ドキドキするのに、
落ち着く、矛盾する幸せな気持ち。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年2月14日 23時
