□45.蝕む ページ5
***
直輝のことを考え出すとキリがない。
今何してるのかなとか
誰と一緒にいるのかなとか
危険なことに巻き込まれてないかなとか。
.
私には危険なことをするなというくせに、
あの人は自分の危険は顧みない。
だからたまに凄く心配になってしまう時がある。
.
色んな不安や心配を紛らわせるために、
不意に目が合ったパンダのぬいぐるみを
ﾋｮｲと抱き上げて、腕の中に閉じ込めた。
.
｢……直輝のバカ……。｣
こんなこと、この子に言ったってしょうがないけど。
彼のパートナーは私だったはずなのに、
それを最近は彼女に取られてしまったみたいでちょっと嫌だ…。
.
自分の中で、日に日に彼の存在が
大きくなっていっている気がする。
彼に依存しすぎないようにしようって思ってたのに、
結局離れていても直輝のことばかり考えている。
.
彼に愛想をつかされてしまったらどうしよう。
彼に捨てられてしまったらどうしよう。
彼がいなくなってしまったらどうしよう。
そう考え出すと落ち着かなくなって、
恐怖心ばかりが心を埋めつくしてしまう。
.
.
＿＿＿＿＿＿＿お願い、早く帰ってきて
あなたが側にいて、
たった一言、“大丈夫だよ” って言ってくれるだけで、
優しくぎゅっと抱きしめてくれるだけで、
それだけで私は生きていけるの。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年2月14日 23時
